劇場公開日 2023年2月23日

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「やや字幕が不親切な点もあるが、基本的には高評価。人権問題などに興味がある方はぜひ。」ワース 命の値段 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5やや字幕が不親切な点もあるが、基本的には高評価。人権問題などに興味がある方はぜひ。

2023年2月23日
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 今年60本目(合計712本目/今月(2023年2月度)26本目)。

 実話に基づくストーリーで、あの有名な9.11テロでの犠牲者に対する遺族救済の補償基金プログラムのお話で、固有名詞等名誉に関する一部は変えてあるのだと思いますが、大半は史実であるはずです(最初に出る通り)。

 日本では同じような事件が起きたことが少なく(なお、第二次世界大戦「それ自体」に関する国民の苦しみは、「事柄の性質上、全員が等しく甘受すべき、というのが最高裁判例)、あえて日本で「趣旨は少し違うが同趣旨」のものを探すとすれば、サリン事件や、広島・長崎の原爆救済問題等があげられるかな、と思います。

 ただ、日本と違い「訴訟を起こすのは自由だが、全員から訴訟を起こされると(地方裁判所がパンクする以前に)アメリカ経済が破綻する」という事情があったので(これは確か。ただ、アメリカが一時的に立て替えたものをフセイン等に請求したって無理な話でしかない)、映画内でもあるように「裁判は回避、なんとか全員が納得する合理的な救済プログラムはないか?」ということで「命の計算」をする弁護士のお話です。

 ややストーリー的にこのような事情があるため、民事訴訟法、国家賠償法(日本基準)の知識が必要なところがありますが、最低限です。

採点は下記を考慮して4.7→4.5に切り下げをしています。

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 (減点0.3/「パブリックコメント」の意味がわかりにくい)

 ・ 実は日本の「行政手続法」は、アメリカやドイツのそれをまねたものです。審査基準や処分基準、法律に基づく命令を制定するとき、「このようなものを作ろうと思っていますが、意見のあるかたは●月●日までにメールをください」などとあります(日本では行政手続法の中で、パブリックコメントは「できるだけ電子的な方法を使う」というルールになっています)。

 上記が適用されるのは「国に」関係することだけですので、条例その他、国の関与が及ばない地方自治体も、上記のパブリックコメントの考え方を取り入れた「(都道府県名)行政手続条例」を制定して実質同趣旨のものを制定しているところが大半です。

 もともとアメリカ由来のこの制度は、「国民の中にも、中にはすぐれた意見を出す人もいるし、一度は国民の前に出してチェックしてもらう」という透明性を狙って作ったものです。

 この話は2回出ますが、どちらにも説明はなし…。アメリカの場合「アメリカ連邦行政手続法」、日本では単に「行政手続法」(都道府県では、同条例)がこれを定めています。映画内の字幕で出る2か所はこの2つです。
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 (参考:受け取る保険金からの控除の話)

 ・ 今回は「被害者救済プログラム」の話ですが、不法行為(究極論はここに行きつく)の損害賠償額から、個人が受け取った生命保険金を控除すべきではない、というのが日本の判例の立場(昭和39.9.25)です。

 ※ 保険金は、「いざというときのためにお金を出して何かあったらもらうもの」であるので、そこからの控除を認めると「保険に入らないほうが得」という変な結論になるため。

yukispica