「【"テロに斃れた方々には補償金と共に敬意も必要。人間の命に値段の差を付ける事は道義的に許されるのか。"と言う重いテーマを扱いつつ、当時の補償基金プログラムに関わった弁護士達に敬意を感じた作品である。】」ワース 命の値段 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【"テロに斃れた方々には補償金と共に敬意も必要。人間の命に値段の差を付ける事は道義的に許されるのか。"と言う重いテーマを扱いつつ、当時の補償基金プログラムに関わった弁護士達に敬意を感じた作品である。】
- 一人一人の命の値段は道義的に許されるのか?と思いながら鑑賞した作品である。-
◆感想
・アメリカ政府が、9.11後に即座に被害者と遺族を救済する為に設立した補償基金プログラム。だが、それは遺族から多数の訴訟を阻止する為でもあった。
- 保険会社の倒産など、経済破綻を回避する為であるが・・-
・弁護士のケン・ファインバーグは特別管理人に指名され、短期で合意に持ち込むように、政府から指示される。
・ファインバーグの計算式- 主に、犠牲者の給与がベースになっている。-の過ちを指摘する妻をテロで失くした聡明な男、ウルフ(スタンリー・トゥッチ)が指摘した事。
それは、テロの犠牲者達の過去の生き方を見ずに、机上で計算式を叩く事は過ちであるという至極、真っ当な主張であった。
ー ウルフの考えに賛同し、多くの遺族は合意を拒む。だが、ウルフはファインバーグと敵対しているのではなく、政府の施策は否定しているが、ファインバーグを否定しているわけではない。そして、ワインバーグは初めて、遺族と向かい会う覚悟を決めるのである。-
・中々、遺族達の補償金の合意が取れない中、ファインバーグ達弁護士団は遺族一人一人と面着で会い、机上では分からなかった遺族の言葉を時間をかけて聞いて行く。そんな彼の変化を見たウルフは、自らのホームページで遺族たちに合意を呼び掛けるのである。
- "人間"が見えていなかったファインバーグの変化をマイケル・キートンが見事に演じている。-
・それにしても、補償基金プログラムに関わった当時のファインバーグ氏を始めとした弁護士たちの働きには敬意を覚えた。
あんなに精神的にキツイ仕事は、中々無いであろう。
<今作品は"人間の命に値段の差を付ける事は道義的に許されるのか・・。"と言う重いテーマを扱いつつ、テロに斃れた人たちの尊厳、払われるべき敬意を描いた作品である。>
こんばんは。やはり補償基金と言いながら出発点は訴訟封じの政策なので、そうすると被害者の中には会社のCEOみたいな人たちもいて、訴訟したほうがもっと多額の賠償金を受け取れるということになって、基金に参加しないことになるのはまずい。だから多少の個人差は致し方ないということなのでしょうね。訴訟とか関係なしの補償金ならば、均等に配れるのだと思うんですが。結局は無償ではなく提訴権放棄と引き換えの有償の補償金ということですね。
アメリカの過剰な賠償額については確かクリントンの時代に上限を設けようという話が合ったんですが、結局はぽしゃりましたね。クリントンが弁護士出身の大統領だったからですかね。