「咲太が見えなくなったわけ」青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない GOさんの映画レビュー(感想・評価)
咲太が見えなくなったわけ
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咲太は、花楓と二人暮らしをはじめるときに、急速に「子供の面」を切り捨てる必要があった。だから、親との関係性に封印をしてしまう。そしてかれは異常に大人びた青年となる。
そんな咲太は、母親との再会で母親の目に入らない。そんなことは、さすがにないだろうと思うけれど、でも、心配の種だった花楓の方に目が行き、大人びていて心配の必要のない咲太は、功労者なのだけれど、逆に「目にあまり入らなくなる」というのはありそうな話だ。そのとき、咲太の立場だったらどう感じるか。
麻衣さんも、みんなから見えなくなったことがある。それは「多くの人から、いないかのように扱われた経験」が引き金となった。咲太の場合は「本当に大事な人から、いないかのように扱われた経験」が「目撃されなくなる現象」の引き金となったのだろう。そして咲太の場合は、その原因は自分の「親との関係性の封印」にある。彼が言っていたように、あのときは他に手が無かった。そして彼のその封印が、彼と家族を救ったのだ。それは正しい。彼は褒められるべきだ。麻衣さんが彼に対してやってあげたように。でも、母親があのとき彼を目に入れなかった原因を作ったのは、母親ではなく彼の方である、というのまた(冷酷な)事実だ。そして彼はその冷酷な事実をちゃんと引き受け、彼の責任を果たす。そこがとても感動的。
前作に引き続き、控えめの演出で淡々と物語は進む。でもそれが、胸が締め付けられるシーンを作り出していて、とても良い映画だと感じました。
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