「オェ~ カラーはやめて~」せかいのおきく カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)
オェ~ カラーはやめて~
木挽町といったら銀座のど真ん中じゃありませんか。そこから水路で葛西まで糞尿を運び集め、江戸川を遡り、亀有村まで運ぶ。人糞を引き取るのにお金をもらうのではなく、逆に払う。そして、農家の庄屋に買い取ってもらう。労力を考えると全然合わない商売ですが、江戸時代の立派なSDGsと言えなくもないかと。
カラーでなくてよかった。
ちょっと、カラーになった場面。とたんにリアル過ぎて、幻臭に襲われました。くみ取り便所の頃のタンク車(バキュームカー)の臭いを思い出しました。ホースの先端のフタにはだいたい軟球のボールを使ってましたね。
肥溜めに落ちた(落とされた)ことが二回あります。
おぇー。
汚穢屋の二人組(矢亮と中次)と長屋住まいの武士の父娘(松村とおきく)。お役御免になった父はまっすぐ過ぎる性格が災いし、辞めたあとも危険分子とみなされ、同僚の武士により殺害される。父を案じた娘があとを追ったため、喉を切られ一命を取り留めたものの喋れなくなる。もしかして、娘の命を取ることに躊躇した同僚たちが喋れなくしただけかなとも思いました。しかし、頸動脈まで切られていれば即死は免れない傷。声帯だけを切るのはかなり高等な技。それに、おきくさんは喋れなくでも、書道の師範なので、字が書けますからね。
武士の娘役の黒木華ちゃんお目当てでしたが、池松壮亮と寛一郎もお目当て。阪本監督作品冬薔薇に出演していた僧侶役の眞木蔵人もよかった。
そして、石橋蓮司の主演作品の一度も撃ってません以来の佐藤浩市と寛一郎の親子共演。しかも長屋の厠(共同便所)で佐藤浩市がしゃがんでうんち💩中の会話が面白かったです。
華ちゃんが半紙に「ちゅうじ」と書いて身悶えるシーン。
ここ笑うところでしょ。
華ちゃんの和服姿のおしり、よかったです。
おきくさんのいわゆる菊のお花がアップになるシーンはなかったです。
それにしても、武家のお嬢様がおわい屋稼業の青年に惚れるでしょうかね。もちろん、池松壮亮よりは寛一郎てしょうけど。おわい屋稼業の若造が江戸の長屋住まいというのもね。
しかし、さすがに映像は超一流で、どしゃ降りの雨の音などもよかったです。カンヌ狙い?
カール様、質問以外の疑問点にまでとても分かりやすく解説して下さって、ありがとうございました。大して考えてもいないのに、よくよく考えると、などど書いてしまった事が恥ずかしいです。でも知識が増えて感謝しております。厠があふれた場面でも、なんで家賃の話を出すんだろうと思ったんですが、そこも意味があったんですね。本作の奥深さを知りました。