「サバイバルジャンル」せかいのおきく いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
サバイバルジャンル
他のレビューでも再三書かれている通り、【阿鼻叫喚】の映像をモノクロフィルターでかけ、そこに【青春】を上掛けした作品に仕上がっている そう書くと評価が低いように採点しているように見えてしまうが決してそう捉えていない
有機肥料は、熟成が必須であり、ググると71℃迄発酵するらしい その際に所謂毒性が抑えられて臭いも抑えられる 但し、そんな時間を待っていられない程の大量の"汚穢"が運ばれ、その熟成時間が保たれなくなる時、破滅的な循環が人間を襲う 勿論、毒性が強ければこの循環は失敗であり、幕末という時代変換の中でその悪循環を止められない悪しき性を如実の物語っている点で、貴重な作劇になっている
どうして、おきくの父親は斬られ、あまつさえおきくも巻き添えになったのか? その詳細は未だ考察にはアップされていないからその謎を知る術はないが、多分これも古き慣習から脱却できない人間の業を表現したプロットなのだろう
二人の青年がその身分故、それでも逞しく生き、そして淡いながらも夢的な将来というには程遠い漠然とした未来を浮かべながら、それでもほんの少しだけ抵抗を試みる件は、感動させられる 現在に於いても実際はその殆どは現実に昇華出来ず、それこそ長屋の住人止まりで人生を終える 手に職を持つお爺さんのみが別世界へ旅経つ件も興味深い やはり"器用"ならば需要を得られるのは古今だろう
講談師になれるか、字を覚えておきくの片割れとなるのか、その未来は誰にも分らないし、そうならなくても"せかい"は廻る そう、孫悟空の様にお釈迦様の掌でクルクル回るのと同じ 所詮人間は死んで、また新しい人間が生まれるだけ・・・
今晩は。
コメント有難うございます。
これは、私の勝手な見方ですが、”ちゅうじ”が”おきく”を抱きしめる前の躊躇した姿は、身分違いの恋である事ではないかと思いながら観ていました。所謂、士農工商ですよね。
その身分制度が、幕末期に崩壊する中、新たなる階級を超えた恋を描いた事が、今作の大いなる意義だと思っています。では。