「マグカップは誰が」いつかの君にもわかること uzさんの映画レビュー(感想・評価)
マグカップは誰が
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冒頭から全編にわたって、繰り返し窓が映される。
これは窓拭き清掃員であるジョンの視点であり、“一般的で幸せな家庭”との断絶を表しているようにも見える。
しかし、彼らの日常には得難い『愛』があった。
ジョンは優しいだけでなく諭す厳しさもあり、常にマイケルを第一に考えている。
(玩具やパジャマを放り投げられて微笑むことができる親がどれだけいるか)
また、マイケルも幼いながら賢く、父を気遣うことだってできる。
ジョンの余命宣告さえなければどこよりも幸せな家庭であるだけに、なお哀しい。
台詞で語らず、過度な演出をせず、事件も起きない。
だが、ほんの僅かな表情から確かに伝わる。
拒んでいた『思い出BOX』をつくることにしたジョンの変化が。
徐々に事情を察して父の死を彼なりに受け止めたマイケルの変遷が。
最終的にジョンが選んだのは、財力でも経験でもなく、やはり『愛』。
何よりも、自分に代わってそれを注いでくれる相手に託したのは、素晴らしい判断だと思う。
『No.1 DAD』のマグカップは、母の願いか、父の決意か、それとも…
ジョンの病名含め余白も多いが、説明不足ではなく逆に深みが増す塩梅も見事。
事情に明るくない自分には、残念ながらソーシャルワーカーが“思いつく限り破った”『規則』が分からないのが残念。
カフェでの会話も印象的だったので、もっと彼女との関わりも見てみたかった。
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