「パパの親心、切なすぎる」いつかの君にもわかること かばこさんの映画レビュー(感想・評価)
パパの親心、切なすぎる
小さい我が子を一人遺して逝くのは辛い。
せめて良い養い親に託したいという親心が切なすぎる。
幼いマイケルにも大変な事情があるのがわかるようで、いい子にして里親候補の家を回る。これも切ない。
養子ではなく里親なのは、マイケルが「ようしはいやだ」と言ったからだろうが、パパもきっとそう。養子だとパパと親子関係はなくなるが、里親ならパパはずっと今のパパだ。
里親候補は、ゆくゆくは養子にしたい夫婦も含めて、全員が今ひとつ。
自己満足やペット扱いではコドモの幸せなんて二の次だろうし、経済的な心配が出そうなのも無理、里親への補助金目当てっぽいのは以ての外。そうすると彼女になるのか。
子供が欲しくて他人の子供でもいいから育てたい一心で離婚までして、里親の資格も取った女性が一番しっくり来たということでしょう。パパ自身が「普通の家庭」を知らないから、現在の自分たちのようなシングルの親ということで、生活が想像可能で判断しやすかったのかも。
ジョンがときどき会いに行く老婦人は彼の里親のひとりなんだろうか。
ジョンが愛情深く思慮もあり、マイケルにしつけができているのは、彼女のお陰かも。
貧しい父子家庭、その上パパは不治の病で余命幾ばくもない、暗く救いようもない話のようだが、周囲が良い距離感で関わってくれて行政の救いの手もあるので悲惨さはない。
関わる人々のジョンへの距離が絶妙で、この距離感はイギリス人的なのかも、と思いました。
悲劇性を盛り上げるような演出もなく、淡々と話が進んでいくが、それが逆に心に染みて随所で泣きそうになりました。
未来の我が子の、節目節目に渡せるように、手紙を書く。
その時を想像しながら。思いを込めて。
大きな束になる。
もうね、号泣するかと思った。
里親と養子の違いは考えませんでした。読んでなるほどな、と思いました。
最後はとてもよい人が里親になったと思います。途中で、この人がいいなと思ってたら、その通りになりました。
この監督の「おみおくりの作法」は見られましたか。とってもいいですよ。