劇場公開日 2023年2月3日

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「戦闘のプロに対して、あまりにサンタクロースが強すぎるのが気になりました。」バイオレント・ナイト 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5戦闘のプロに対して、あまりにサンタクロースが強すぎるのが気になりました。

2023年2月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 物欲主義な子供たちに嫌気がさして久しく、少しばかりお疲れ気味のサンタクース(デヴィッド・ハーバー)は、体に鞭を打ち良い子にプレゼントを届けるため、トナカイが引くソリでクリスマスイブの空を駆け回っていました。
 とある富豪ファミリーが盛大にクリスマスパーティーを開く豪邸に降り立ち、煙突から部屋へ入ったサンタが偶然鉢合わせたのは、金庫にある3億ドルの現金を強奪するため潜入したスクルージー(ジョン・レグイザモ)率いる武装集団でした。その場を見なかったことにして立ち去ろうとするサンタでしたが、危機を感じたトナカイたちは、トンズラ(^^ゞ置いて行かれたサンタは、大騒動に巻き込まれてしまいます。サンタはクリスマスプレゼントを届ける能力は備わっていたものの、戦闘能力はゼロでした。ましてや相手は武装集団。
 多勢に無勢の大ピンチを孤軍奮闘切り抜け、無事子供たちにプレゼントを届ける事が出来るのか!?

 「ダイ・ハード」と「ホーム・アローン」を合わせたような痛快作です。実際に武装集団に襲撃されたジェイソン家の娘トルーディは、ひとり屋根裏に逃げ切るのですが、「ホーム・アローン」が好きだという彼女は、映画そのままに屋根裏部屋に罠を張り巡らせます。問題は、本家「ホーム・アローン」では、誰も死者が出ないのに比べて、本作では子供が作ったとは思えないほど、罠の仕掛は残酷でした。釘が貫通したり、首が飛ばされたり、けっこうスプラッターのシーンが続いたのです。

 なにも反撃能力がないはずのサンタクロースも、大槌片手に大暴れ、次々に武装集団の面々の頭を打ち砕き、血しぶきを上げていったのでした。さらにジェイソン家のお抱えの傭兵軍団も、ジェイソン家を裏切り武装集団に味方し、大勢の戦闘のプロたちが、たったひとりのサンタクロースに襲いかかるのですが、サンタクロースは接近戦で次々退治していきます。
 戦闘のプロに対して、あまりにサンタクロースが強すぎるのが気になりました。通常ならジェイソン・ステイサムのベテラン傭兵相手に、素人が接近戦で勝ててるわけがないのです。

 それに数少ないサンタクロースの使える魔法の一つであるトンネルをワープして屋根に瞬間移動できる能力があります。それを使って、普通の人間を抱き込んでワープすれば、トンネルの空間よりも大きい人間の肉体はぐしゃぐしゃに潰れるのです。それが使えるのであれば、最初から武装集団や傭兵軍団相手に使えば、楽勝だったのにと思いました。

 作品の基本は、ブラックコメディなのですが、アクションのシーンは、結構本格的でクールでバイオレンスな本格派で、さすがは製作集団87ノース・プロダクションズが製作した作品と言えるものです。特にラスト近くのサンタクロースと武装集団のボスとのスノーバイクを使ったカーチェイスシーンは、ノンストップで迫力満点でした。そしてまさかの感動のフィナーレへ!

 本作がクリスマスシーズンの公開ではないのは、凶暴なサンタを見て良い子が傷付くのを避けたからでしょうか?

流山の小地蔵