「レッドガーディアン? いえ、サンタクロースです!」バイオレント・ナイト おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
レッドガーディアン? いえ、サンタクロースです!
グロい描写は苦手なのですが、サンタが暴れる予告に興味をそそられて鑑賞してきました。単純なストーリーながらメッセージ性がきちんとあり、予想以上のおもしろさで鑑賞後の満足感は高かったです。
ストーリーは、夢のない最近の子どもたちに嫌気がさしていたやさぐれサンタが、それでも渋々プレゼントを届けに回る中、とある裕福な家に立ち寄ると、ちょうどその家の財産を狙った強盗団が立てこもり中で、そこで囚われている女の子を見捨てることができず、単身で強盗団に挑むというもの。
最も印象的だったのはサンタVS強盗団による凄惨な殺し合いで、タイトルどおりのバイオレンスシーンが満載です。目を背けたくなるグロいシーンの数々に、「何もここまでやらなくても…」と思わないでもないです。しかし、これを聖夜に幸せを運ぶサンタが繰り広げるというギャップが本作のキモなので、この残虐描写は外せないですね。
このサンタ、使える魔法は、煙突瞬間移動、四次元ポケット式プレゼント袋、良い子・悪い子リスト閲覧巻き物のみ。しかし、かつては必殺武器“脳天潰し”ハンマーを引っさげたウォリアー(決してレッドガーディアンではない)だったという驚きの過去が!近年はアルコールに溺れてだらしない体となったサンタですが、女の子の信頼に応えるため、血まみれになっても立ち向かう姿がカッコいい!そして、その暴れっぷりが気持ちイイ!冒頭の女の子の会話で登場した「ホーム・アローン」の伏線回収となる屋根裏の仕掛けも実に楽しい!それら数々の残虐シーンをライトなBGMでシュールに盛り立てる演出もお見事です。
さらに暴力一辺倒に見せかけて、終盤はしれっと泣かせにくる展開も心憎いです。サンタを純粋に信じる女の子の願いが、不仲だった両親の心をほぐし、やさぐれサンタの心を温めて復活させる、聖夜の奇跡を見るようでした。グロ耐性があるなら是非多くの人に観てほしい作品です。ていうか、なんでこの時期の公開なんでしょう? これ絶対クリスマスに公開すべきやつです!
主演はデビッド・ハーバーで、コミカルでバイオレンスなサンタ役がピタリとハマった好演でした。敵役はジョン・レグイザモで、冷酷な強盗団のボス役がこちらもうまくハマっていて、そのクズっぷりが作品の爽快感に貢献しています。