「穏やかな水面に広がる波紋」波紋 アンディぴっとさんの映画レビュー(感想・評価)
穏やかな水面に広がる波紋
夫が黙って突然家出。義父の介護をして看取り、葬儀も済ませ、息子も独り立ち。やっと自分の自由に暮らせる。更年期の体調不良と職場でのイライラと向き合い、それでも自分なりの楽しみも見つけて毎日を過ごす依子。まあ、怪しげな信仰宗教にのめり込むのは問題だが、本人がそれで救われているなら仕方ないか。庭も旦那が育てた花を抜き、好きな枯山水を作り、石を整える時は至福の時なんだろうな、そこに隣の猫が入ったら腹も立つでしょう。
そんな毎日、突然夫が帰ってくる。観ているだけで腹が立ってくる。勝手に全てを押し付けてふらっと出て行って、突然病気だからと帰ってきて最後を看取ってほしいだと?なんて勝手な。依子さん、不快ながらもちゃんと面倒を見てあげるんだからえらい。私なら追い返すかも。
息子が帰ってきた時、お父さんがいて驚いたけど、お父さん帰ってきたよ、て連絡をしていなかったのが不思議。息子もいきなり彼女連れてくるのも不思議。お互い何故前もって伝えないんだろう。どっちも驚くよね。
次の日に依子さんが、彼女に「別れて」というのにも驚くが、彼女の逆襲もすごい。あそこまでお母さんになる人にはっきり言えるなんて、二人ともすごい。
息子の「お父さんが出て行ったのもお母さんが原因」て言葉もきついよね。
まあ、色々ありながらもダメ旦那を看取り葬儀の日。棺の夫が庭に転がって大笑いする依子。私も観ていて笑ってしまった。死んでも庭に転がるんだなあ。
最後の雨の中でのフラメンコ、実際に踊った訳ではないけど?依子の心の中は踊っていたんだろうな。赤い襦袢で、心も晴れて。反対はしていたけど、息子夫婦と離れてはいても仲良く過ごしてほしい。
今晩は。
ご無沙汰しております。荻上直子さんの新作という事で、ホンワカした映画かな?と思いながらノホホンとした気分で見ましたが、もう妻を持つ男としては、とんでもなくオッカナイ映画で。
フラメンコの”パン、パパン!”と言う効果音も怖く、失踪した夫に対して、新興宗教に入った奥さんを演じた筒井真理子さんがトンでもなく怖く。”私、あなたの事を赦してないから!!”
今作鑑賞後、”オイラ、奥さんに対し非人道的行いをしていないよな!”と思いつつ、会場の奥様たち(多分、年配。)が笑うシーンが”そこ、笑うシーンですか!!”と戦慄しながら会場を後にしました。
夫としての役目を果たさぬ男にとっては、完全なるホラーでした。では。返信は不要ですよ。