「憎悪と狂気の波紋」波紋 sankouさんの映画レビュー(感想・評価)
憎悪と狂気の波紋
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なのだろう。
あれほど嫌悪感を抱かされた修も、やがて死期が近づくとすべてを達観したような態度になり、不思議と観ていて安らかな気持ちにさせられる。
依子は突如倒れてしまった水木の世話をするうちに、少しずつ心が穏やかになっていく。
清掃員であるにも関わらず彼女の部屋はゴミ屋敷なのだが、震災が起こった日から彼女は部屋を片付けられなくなってしまったらしい。
不当な値引きを迫る老人にも、切羽詰まった理由があるのかもしれない。
その人のことを知れば、実は人は簡単に人を許すことが出来るのだろう。
人の醜い部分を描いた作品なので、とてもドロドロとした印象の映画になってもおかしくないのだが、やはり荻上監督はコメディのセンスがある。
間の取り方や空気の壊し方が絶妙で思わず笑ってしまう場面が多かった。
ラストの雨の降る中、喪服姿でフラメンコを踊る依子の姿が印象的だが、筒井真理子はいつ観ても不思議な色気を感じさせる女優だなと思う。
胡散臭い信者役の江口のりこと平岩紙の存在感も絶妙だ。
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