「目を背け逃げる人たち」波紋 kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
目を背け逃げる人たち
福島の原発事故が起こったとき、東日本に住む人たちはどうしようもない不安を感じていた。これからどうなるんだろうと。他の地域に引っ越した人もいたが、そんなことできたのは一部の人たちだけ。そんなことを思い出させる冒頭。
夫が失踪し宗教にハマるという女性を描いた作品。宗教は、つらい現実から目を背けたい人がハマる(という個人的偏見)ということを改めて教えてくれる。でもあの家族は皆、何かから目を背け逃げ出したってこと。それは悪いことではない。大なり小なり逃げておかないと心が持たない。
それなりに考えさせられ、ちょっと笑える。悪くはないんだけど、大きな感動は待っていなかった。個人的には、波紋が生じる水面に立ちながらセリフを話すシーンがなんとも心地悪かった。いい意味ではなく悪い意味で。大して効果的だったようには思えなかった。
意外と豪華な役者が出演していた本作。主演の筒井真理子もいいが、光石研がさらにいい。微妙に嫌な感じでダメな男がとても似合っていた。帰ってきてからの食事シーンは絶妙な嫌悪感を覚えるライン。妻の心が乱れるのがよくわかる。あと、ムロツヨシの出演はわからなかった。そうか!あいつがそうか!と消去法では思い当たるけど。なんかムロさんに負けた気がしてしまう。
コメントする