「シリアス?いやいやコメディ???…⭐︎」波紋 ☆ムーミンさんの映画レビュー(感想・評価)
シリアス?いやいやコメディ???…⭐︎
荻上直子監督の作品ということでの鑑賞。
「川っぺりムコリッタ」が、自分のテイストではなかったので あまり期待せずに観たが、
今作はとても面白かった。
筒井真理子演じる須藤依子のもとから、三石研の夫が震災の放射能怖さに失踪するという冒頭。
ちょっと唐突ではあるがその後何年かで夫がガンを患い、また突然の帰宅。
その間に依子は、「緑命会」という新興宗教にハマる…まさにハマるという感じで勉強会と称する
集まりで月並みに水とか水晶玉とか買わされている。
その勉強会に集まる面々が、江口のりこ、平岩紙はじめ信者が皆んな同じ目をしているのが、
真実味を帯びていて、怖いような笑えるような…
お祈りの踊り(?)も思わず苦笑してしまうが、それもありそう。
実際、自分もその手の宗教の勧誘を受けたことが何度もあるが本当に皆んな不気味なくらい
幸せそうな悟ったような表情をして声をかけていくる。
途中、何度も歌舞伎の幕間に響く拍子木のような音が場面ごとに鳴り響くがいったいなんだろう?
と思いながら観ていたら、夫が亡くなって、息子役の磯村勇人が葬式に参列後 帰る際に
筒井真理子に「また、昔習っていたフラメンコでもやったら…」という一言でその音が
フラメンコで使うカスタネットの音だったんだとわかる。
ラストシーン、雨の中 カスタネットの音とともにフラメンコを喪服(着物の)で踊る筒井が
素晴らしい。
全てを突き抜けたような爽快感が漂う。
とにかく、これという主役になる役者がいないような感じなのに、出演者が全員上手い。
磯村勇人の彼女役が本当の聾唖者というのも納得。
映画に出ずっぱりの柄本明、安定の木野花、キムラ緑子。
ムロツヨシは、鑑賞中はわからず 後からググってみました。