「感情を処理しきれなくなると、人間は笑う。」波紋 jaxさんの映画レビュー(感想・評価)
感情を処理しきれなくなると、人間は笑う。
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新興宗教に傾倒することで精神的な平静を保とうとする主婦が主人公。十数年前に失踪した夫の突然の帰宅を皮切りに五月雨式に起こる問題によって、主人公は精神的に摩耗していく。主人公のように、やるせなさを感じながらその気持ちに蓋をして日々を生きている現代人は多いのではないだろうか。
主人公の心境の変化に合わせて、場面の切り替わりに挿入されるパルマ(フラメンコの手拍子)のリズムも変わっていくという演出になっているが、視聴中は手拍子とフラメンコが結びつかず、ラストシーンにやや唐突さを感じた。
本作は高齢化、新興宗教、差別など、社会問題をこれでもかと言わんばかりに組み込んだ作品ではあるが、出演者の演技力は高さと(特に新興宗教信者役の女優の表情のつくり方は怖いくらい上手い)、多くの笑える演出によって、重いテーマが軽妙な作風で描かれている。
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