「2011年の東京郊外。 一軒家に暮らす須藤依子(筒井真理子)は、夫...」波紋 りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
2011年の東京郊外。 一軒家に暮らす須藤依子(筒井真理子)は、夫...
2011年の東京郊外。
一軒家に暮らす須藤依子(筒井真理子)は、夫の修(光石研)と息子、それに寝たきりの義父との暮らし。
義父の介護は依子がただ一人で行っている。
東日本大震災での原発事故が連日ニュースで報じられるある雨の日、庭に出た修が突如、出奔してしまう。
それから十年あまり。
近くのスーパーで働く依子は、緑命会という水を信仰する新興宗教にのめり込んでいた。
義父は他界し、息子も成人して九州で職を得、依子はひとり暮らしだったた。
そんな中、長らく失踪したままだった修が帰ってくる。
末期近い癌だという。
依子の気持ちはさざ波どころか大波が立ってくる・・・
といったところからはじまる内容で、心の中に沸き立つ波が波紋となって周囲の人間関係も変化させていく。
なんだけれど、どうも腑に落ちないというか合点がいかないというか、依子が新興宗教にのめりこんだ理由がよくわからない。
ま、夫の出奔、ひとりでの義父の介護、まだ成人前の息子の世話などなど、諸々のものが彼女ひとりに降りかかり、心の隙間を突かれたのだろうけど、成人した息子(磯村勇斗)の口からは、「前からヘンだった。父さんは放射能から逃れたかったんじゃなく、あのひと(依子)から逃れたかった」と言うので、わからなくなってしまった。
こうなると、観ている方としてはダメで、映画に乗れなくなってしまった。
新興宗教の地域主任役のキムラ緑子、仲間の江口のりこ、平岩紙の好演、筒井真理子の熱演(ラストのワンカット長回し演技はすごい)はあるものの、なんだかちょっと作りすぎな感じがしないでもないですね。
テイストは、荻上直子監督の前作『川っぺりムコリッタ』に似ているかも。