「心に響くファンタジー ピクサー、ディズニー渾身の作!」マイ・エレメント zuzuさんの映画レビュー(感想・評価)
心に響くファンタジー ピクサー、ディズニー渾身の作!
遅ればせながら、「マイ・エレメント」を鑑賞しました。
タイトルがピンと来ないのと、キャラクターのビジュアルに魅力を感じられず、興味をそそられなかったのですが、ここ最近のアニメでは、意外にも最も共感しました。
主人公の感性はリアルで自然、親子の確執は「私だけじゃないんだなぁ」と安心感も。ウェイドが死んじゃう場面では、強気なエンバーと一緒に涙がポロリ。
最近のディズニーはフェミニズム感が際立ってますが、そこを軸にしてないのも、すっと入ってきました。
大人も楽しめるファンタジーです。
共感ポイント
・理不尽な人に遭遇すると、イーッとなって爆発するエンバー。ウェイドみたいに寄り添う事ができなくて、落ち込む。
・親の期待に沿おうと、つい頑張る。褒められると嬉しくなり、喜ぶ顔をみるとますます嬉しくなり、「自分の本心」なんてどこかにおき忘れて生きる。
・親への恩、親の負ってきた苦労に、自分の人生をかけて報おうと本気で思う←古今東西、子が背負う十字架なんだと実感。
・でも大体の親は子供に幸せになってほしいと思ってる。けど普段そんなことは口に出してくれず、すれ違う。子は深く葛藤する。
・そんなエンバーの気持ちを分かりすぎる共感男ウェイド。エンバーすら気づかない(フリしてる)本心を本人より分かってしまう。そこを集中応援📣
普通は鬱陶しいが、ウェイドが呆れる程ピュアなので、うっかり心がほどけていく。
・セレブでアーティスト揃いのウェイド一家は、物質だけでなく、心も別次元に豊か。出自の違うエンバーとも自然に分かち合う真のセレブ。ウェイドと共にエンバーのアートの才能を発見し、光を当てる。世の似非セレブも優越感に浸ってる間に、豊かさの生かし方を学んでほしい。
・泣き虫ウェイドは、いつも人のために泣く。エンバーを助けにきて、消えゆく瞬間に、何も後悔してないよ、といって蒸発する。(急にタイタニック!)
親を守る自負と犠牲になることへの使命感でガチガチだったエンバーの心の壁が、ウェイドのピュアな愛に触れて一気に溶けだす。
・一見弱そうな泣き虫ウェイドは、とんでもなく大きな愛のある、器の大きな人だった。強気な女子のアキレス腱をやさしく一撃。この組み合わせ、夢あるなぁ。
・重めのテーマがありつつも、全体に軽くコミカルなテイスト。救世主ウェイドも基本、情けない愛されキャラで、押し付けがましくない。
・最後に流れるテーマ曲が、あまりにドンピシャでびっくり。透き通ったキュートな声で、どこの歌のお姉さんかと思ったら、越智志帆ご本人だった。こんな声出せるんだ〜
理不尽な奴、ダメな奴はいっぱいいるけど、やさしい気持ちで寄り添うと解決するよ、皆で幸せになれるよっていう、移民や多様性の課題を抱えるアメリカがみつけた回答、世界の未来に向かってのメッセージにも受け取れました。
・馴染めなかったのはキャラクターのビジュアルですが、そんな事はまぁいいやと思える程楽しいストーリーでした。ピクサーとディズニー、渾身の骨太な一作です。