劇場公開日 2023年8月4日

「泣いたら負けなのにまんまと泣く!」マイ・エレメント わたろーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5泣いたら負けなのにまんまと泣く!

2023年8月6日
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素晴らしい!ピクサーでここまでストレートなラブストーリーを観れるとは。「インサイド・ヘッド」と「ズートピア」の世界観を上手く扱い、社会性をあえて廃してセカイ系的な二人の物語に変えてきたこの挑戦を買いたい。子どもが楽しむ映画に必ずしも社会性を盛り込む必要はないと思ってるタイプだけど、水側の一家にLGBTへの目配せもあざとくなくてさすが。

ピクサーの映像表現で特に素晴らしいのは『水』だと思ってて、それが「あの夏のルカ」からさらに進化していて驚嘆。水を差す、火に油を注ぐなどなど水と火に関する言葉遊びや映像を使った遊びがふんだんに盛り込まれていて楽しい。翻訳者も見事ですね。水と火以外の描写が甘いと言われればそれまでだけど、自分は二人のセカイ系だと思えばそこまで気にならなかった。

音楽を流している間に時系列の経過やデートの経過を見せるのも本当に手際が良い。エンディングにSuperflyの「やさしい気持ちで」をチョイスしたのもこの映画のために作られたかのようだった。

『泣いたら負けゲーム』で安直に泣く私。1回目の時点で水側の一家の温かさに涙してたんだけど、まさかの2回目が行われるタイミングで号泣した。それこそ火側の涙で生き返るかと思ってたけど(涙を流したことがないに合わせる意味でも感情を爆発させることは悪いことではないと示す意味でも)、こっちのゲームのほうが良いですね。

「リメンバー・ミー」が個人的にピクサーではワーストなんだけど、家族観に対するメッセージがちゃんとこっちのほうが良くて安心。「リメンバー・ミーのスタッフが贈る」って言わないほうがいいよ。

いい感じでこのキャラクターがヒットして、ディズニーランドのアトラクションになってくれたら良いなと思った。

軽い不満点は「いまいち燃える(火に触れてはいけない)基準がわからない」「お店に来る客の態度が露骨に悪い」「川口春奈さんの声の演技」でした。本当に軽い感じです。それを上回る感動がありました。

わたろー