「映像は綺麗。然して内容は。」マイ・エレメント キタさんさんの映画レビュー(感想・評価)
映像は綺麗。然して内容は。
正直な感想としては、「ピクサーの最新技術の博覧会」、「ストーリーに深みはなくジョークもつまらない、“それで?”と感じる描写が多かった」、「ポリコレ的内容」の3点を強く感じた。
先ず「最新技術の博覧会」についてだが、ビジュアルに関してはこの作品ピカイチにと感じた。
主人公の炎のエレメントが次々にと色を変えるシーンや、作品全体を通して描かれる喜怒哀楽の変化による炎の強弱とその揺らぎ...これに関しては圧巻の一言に尽きる。
とても綺麗に感じた、からこそ今後に期待を持てる要素と考えて差し障りないだろう。
ただそれ以上に粗として感じてしまうのが、先述したものの残り2点。
まず第一に、主人公の炎のエレメントの少女は家族絡みのプレッシャーで怒りっぽくなっているのだが、そのキャラ付けに問題がある。あまりに“怒りっぽすぎる”のだ。
物語の途中、主人公は転機になるであろう、ある“提案”を受けるのだが、そのすぐ後のシーンでは何故か怒り心頭。
家族絡みの事情あってこそのものなのは重々承知しているのだが、あくまで相手としては“良い事”と思って差し向けた提案。それに対して直ぐに怒りの感情を浮かべるのは、板挟みにされてよく分からなくなっている心境だとしてもあまりに失礼が過ぎている。
作品内を彩ろうとしていたジョーク類も親父ギャグ気味でとても寒く、此れは個人的な思い込みに過ぎないかもしれないが、エレメントと言う以上何かしらのエレメント間での化学反応で協力をして何かをする描写を期待していたのだが、そう言ったシーンも無く淡々と「エレメント間の交流が盛んになりました。おしまい。」といった内容に見受けた。
「他者を尊重しよう、自分に正直になろう」と言ったメッセージ性は確かに込められていたとは思う。
ただエレメントでそれをする必要性があったのか。相容れない2つのエレメントが一緒になることで起きる奇跡の化学反応があるのか。これを尋ねられたら、「何も。」と答えたくなる。