「硝子窓」ミステリと言う勿れ ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
硝子窓
ドラマ一切見てなかったし乗れないだろうなーと思ってスルーして3ヶ月。近い劇場での上映が最終日だったので、思い切って鑑賞。
なぜ3ヶ月放置していたのかと悔やむくらいに面白かったです。ミステリーとしても難解すぎず、それでいて簡単でもない絶妙なバランスでしたし、登場人物の動きがコミカルにもシリアスにも転がるので楽しめました。
とある一家の遺産相続争いにたまたま巻き込まれてしまった久能整が事件を解決していく、というシンプルなストーリーです。
序盤から不穏な雰囲気を醸しつつも、割とあっさりと結論までいっちゃうのか?と思ったら、後半からは伝統や血筋の物語になっていき、それによって形成された子供の頃のトラウマなどもぶり返していくなど、込み入っていた作りが魅力にもつながっていてとても良かったです。
整の一歩引いた視点から物事を分析してからのセリフが素晴らしかったです。共感できるものが多く、特に"女性の幸せ"は男性が言い出したもの、女性が楽なら育児だって男性もやりたがるはずなど、つっかえていた小骨が抜ける感覚で思っていた事をセリフにしてくれたのがとても良かったです。
海外ドラマでは犯罪者や被害者がカウンセリングを受けるという話も確かにそうだなと思うところもあり、原作者さんもいろんな視点からエンタメを観ているんだなとなんだか嬉しくなりました。
世の中に対する疑問を無理くり会話に捩じ込むわけでは無く、自然な流れで入れるやり口がお見事でした。
役者陣も素晴らしく、淡々と喋りながらもユーモアをぶち込んでくる難しい役割を演じ切った菅田くんは流石ですし、緊迫感のあるシーンで様々な表情を使い分けていた原さんも最高でした。
難点を挙げるとすると、ドラマ版から継いでいるのか、それとも分かりやすくするためなのか、重要なシーンでテロップをドーンと表示しているのはドラマ映画にありがちな手法であまり好きではなく、今作もやっちゃったかーと思ってしまいました。
犯人サイドが思わずゲロっちゃうのは整がメタ的な発言をしていたのでやっぱゲロっちゃうよなと納得してしまいました。
エンドロール後の映像はドラマファン向けの映像だったので、見てた人からしたら嬉しいんだろうなと思いました。
ドラマを見ずともすんなり入れるストーリーに、入り組んだ謎の解剖、随所にばら撒いた伏線をしっかり回収してくれる上質なミステリーでした。これを機にドラマ版も見てみようかなと思いました。
整くん、新幹線のシートはそんなに下げるもんじゃないよ笑
鑑賞日 12/14
鑑賞時間 11:40〜14:00
座席 C-11