劇場公開日 2023年4月29日

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「正々堂々の女子会」放課後アングラーライフ R41さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0正々堂々の女子会

2024年7月2日
PCから投稿

物語はとてもわかりやすい
いじめが心に与える影響を釣り仲間をモチーフに描いている。
女子高から女子高への転校の意味を探したが見つからなかった。しかし、概ね女性の観点のみを出したかったのかもしれない。
最近はとても多くなった女性釣り人。
だが生餌のグロテスクさと生臭さ 釣った魚の処理方法 これらが女性が持つ抵抗で、この作品がモチーフにしている「チャレンジ」を表現しているのかもしれない。
釣りは釣れるかどうかわからない。しかし釣りはじっくりと自分に向き合う感じがある。
実際に向き合っているのは魚であり自然かもしれないが、それとともに自分がそこにいるのを感じることができる。
いろいろなことを考えているようで、実は何も考えていない。ただ自然と呼吸を重ねている。
釣りというモチーフには様々なものを託すことができるように感じた。
これは転校先で、主人公めざしがいじめで受けた心の傷を癒していく物語。
前の学校の写真が1枚もない。めざしのオドオドする挙動に不審を持ったナギは、密かにめざしのアカウントを探した。
そして彼女がいじめを受けていた事実を確認する。しかしそれを他の仲間に言わない。
シイラが仕出かしたことでめざしが釣りに来なかった事と連絡がつかなくなったことがあっても言わないのは、本当の友だちだと思っているからだろう。
たまたま顔を合わせたアカリと駄菓子屋でするおしゃべり。
アカリはめざしが気に入らないことを堂々と話す。それはアカリが本気でシイラのことが好きだから。だからシイラと会って端然と話してほしいとお願いした。
シイラは本気で謝りたいとキスを77匹釣り、喜ぶ×77 これでしようとした願掛け 彼女は熱中症で入院した。
そしてめざしはみんなの前でいじめられていたこととそれが原因で「ノリ」についていけないことを打ち明ける。
この正々堂々とした清々しい仲間たち。
彼女らのまっすぐさに触れためざしはようやく自分自身を取り戻し始めるのだろう。
いじめは大昔からある。
その時代を潜り抜けてきたのが、西村知美さんであり中山忍さんだったのかもしれない。
カラオケで歌う昭和ポップスは、彼女らがかつていじめを受けても戦い抜いてきた時代の象徴なのだろう。
その精神は現代日本にも強く色濃く反映されていると、この作品は言いたいのだろう。
だから、いじめを受けている子供たちにも必ず救いの手は来るということを伝えたかったのかもしれない。
仲良しが戻ったシイラとめざしのじゃれあいに、
「ラヴじゃんか」
そう感じて涙するアカリの気持ちに被せるようにめざしの竿に大物がかかる。
それは、アカリが感じるその大きいと思っている悩みも、人生においてはただの小さな一コマだと教えているかのようだ。
女子の何とも言えない清々しさ
昭和とは真逆の感じがする新しさ
素晴らし作品だった。

R41
Mさんのコメント
2024年7月2日

何ともいえず、よい作品でしたね。

M