怪物のレビュー・感想・評価
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子供時代から悩まされるジェンダー。
ネット上のレビューを一切見ずに観に行ってほしい
だれの中にも“怪物”はいる
尊い・・
メロディ
犯人を探さないミステリとして鑑賞
かわいそうでキツイ感じの映画なんでしょう?いたいけな子供が出てるみたいだし
というのが鑑賞前の印象。(金払ってキツイ思いしたくねぇな)
カンヌで何か賞をとったみたいね、そうなんだ〜。
脚本賞もとったみたい、あれ坂元裕二が受賞したの?
坂元裕二脚本じゃんこれ〜、ということで公開の週末に急遽鑑賞。
大傑作じゃないですかコレ、映画の内容に反して脚本の巧みさに私の顔はニヤニヤしてたかもしれません。
坂元裕二脚本のドラマはカルテット、大豆田とわこ、初恋の悪魔あたりが好きなのですが、
今回も「全員嘘つき」(カルテット)な状況で「マーヤのベールを剥ぎ取れ」(初恋の悪魔)でしたね。
大豆田とわこ要素としては、東京03の角田さんが出ている辺りでしょうか(笑)、作中の登場人物かごめさんのことがふと頭をよぎったりはしました。
口からでた言葉には嘘であっても心の叫びが込められているので、ホントの有様は簡単にはわからんのよって脚本だと思います。
事前情報入れずに鑑賞できた人は幸運ですよ〜
やばい、過去一の映画かもしれない
大好きな是枝監督と大好きな坂元さんと坂本さん。
いい映画に決まってる。
公開前にカンヌの賞とか取ってしまうし。
期待値がかなり上がってみましたが、私にとってそれでも過去一の映画かもしれない。
予告から想像していたストーリーとは違って、じわじわくる話で、後半はうるうるしてしまった。終わり方も素晴らしく、答えを出さないというか、とる人によってハッピーエンドにもバットエンドにも取れるかも知れません。
私はどちらかというと、、、(T_T)
時系列がバラバラでちょっと分かりにくいところもあります。また、台詞の端々で意味が変わりそうなほど、とても繊細なストーリーでもあります。
見る角度によってここまで違う話になるのだと、本当によく出来た脚本と映画でした。
全員怪物、全員人間という感じです。
安藤さくらと瑛太はもちろんですが、主役は子供たちだと思います。本当に素晴らしい。
子供たちよキャラを考えると泣けます。大人でも理解しにくい心情を、どうやったらあんなに演じられるのか。演じさせるのか。
出来るだけネタバレ無しで観て欲しい。
カンヌの○○賞とか取ってしまうと、そういう話なのかとネタバレしてるけど。
凄く観たくて待ち遠しかった作品。でもあまり期待し過ぎないように極力...
日本近代映画の結晶だ
全人類見てくれ。是枝裕和✕坂元裕二✕近藤龍人✕坂本龍一 これが日本近代映画の結晶だ。
描くべき部分を丁寧に描き、語るべき部分は丁寧に語り、でもしっかり観客が能動的に補うしかない余韻がある。「自分の信じる真実が真実だと思いたいという加害性」を見事に魅せる傑作。
「学歴は?」「年収は?」「男らしくないよ」「結婚するまで…」「シングルマザーに育てられた子は…」「普通の家族が良いよ」「異性愛前提」など無自覚に容赦なく加害してくる大人。事実だけを見て、その背景を確かめることなく推測・決めつけをしてしまう大人。ラガーマンとは対称的な自分に悩む子ども。そんな子どもたちを受け止めるラストシーンは、現実の厳しさからの逃避か、あるいは決めつけからの開放・自由なのか。その解釈だけでも人それぞれの解釈がある。その解釈をすることすらも加害なのかもしれないが…。自分はユートピアと解釈した。坂本龍一の音楽が余韻をたなびかせる。「死んで来世にやり直そう」が罷り通ってたまるものか。
加害者と被害者が固定化されないのも良い。
子役の演技が本当に良い。揺らぎと芯の通った2人のカップリング。星川くんの麗らかな瞳。一番印象的だったのは隣の席の女の子。何のために嘘をついたのだろう…と思わせられるが、やっぱり瑛太演じる教師がいじめと決めつけたからそれに抗いたかったのかな…あと、机の上を常に消しゴムで消してる男の子は何のメタファーかわからなかった。校長先生も床の掃除してたし、真実を「消す」ことを示しているのか。
初めて電車に行ったシーンの「怪物だーれだ」で号泣スタート。彼は決してナマケモノでもないし、何にカテゴライズされることもなく自分は自分、彼は彼ということを示すシーンだったと思った。
そして校長先生とのシーン。己を怪物ではないか、取り返しのつかないことをしてしまったのではないかと思う彼に寄り添う最高のセリフ。
やさぐれた高畑充希も良いし、男性性丸出しの中村獅童も良いし、東京03の角ちゃんももう役者だし。
第三幕まで見てしまえば、伏線が伏線を張るために作られたものではなく、物語の中で必然に置かれたことがわかる。それぞれの視点で見え方が違うことを大いに示す。とはいえ前半(第一幕)のカット割りが「ね?不自然でしょ?覚えといてね?」という演出強めだったところだけ気になったかも。
とりあえず上映期間中にもう1回は観に行くし、定期的に見返すことになると思う。己の怪物性を顧み、それでも己を見つめ大切にするきっかけになる長い付き合いになるであろう1本。
坂元裕二らしい心をえぐる様な物語
前半はエンタメとして引き込まれ、後半は社会は作品として見事にやられた
今作は3つの視点が話が描かれる羅生門スタイル。次第に違和感の謎が明らかになったり、視点によって印象が大きく変わるからエンタメとして面白い。
まず、シングルマザーの早織の視点で進む。息子の行動や傷を不審に思い学校に訴えるも、学校側の対応のそっけなさ、担任や校長の態度に怒りと不審感を募らせる。
母親の視点からだと学校側の対応は杜撰で怒りが湧くのは分かる。
次は担任保利の視点。
意外や意外、生徒思いの良い先生でまず驚く。
悪くはないのに、問題教師に祭り上げられていくのは観ていて辛い。
担任からは早織は過保護なモンスターペアレント。生徒からも裏切られ一番可哀想。
そして、最後は早織の息子湊の視点。
これまでの謎や違和感が一気に解消していく面白さもあるが、子役二人の演技力に驚く。
湊の思いに戸惑い自分自身を怪物と感じてしまう苦しみ、葛藤は見事。
母や担任は良い人なのだが、本当の理解者ではなかった。なんの気もなく言った言葉が誰かを否定したり傷つけているんだなと突き刺さる。
それゆえに依里のまっすぐさは湊にとっては救いであるんだなぁと思った。最後はどう捉えるかだけど、感動したが少し悲しさも残った。
是枝監督の作品はゆったりとしていて判断を観客に委ねることが多い気がして苦手意識あったが、今作は脚本が坂本裕二だからか、シーンの切り替わりも早くテンポよく感じて楽しめた。
視点によって善悪は変わって見え、怪物も異なる。いや〜面白かった!
結末の意味がわかる者は大人なのだろう
本当の「怪物」とは
シングルマザーの視点、担任教師の視点、校長の視点、主人公の視点・・・4人の視点から物語は繰り返されます。それぞれの立場で全く違う話に見えますが、芥川龍之介の「藪の中」とはまたちょっと違うのですが、簡単に言えばあんな感じの演出です。
結論を言いますと、私は「怪物」とは現在の日本社会のことだと思いました。
コロナ禍におけるマスクやワクチン接種の問題、未だにマスクを強いられる雰囲気のある同調強制の日本人。好き嫌いなどの基本的な意見が言えない日本人、いじめられている子をかばえずに、自分がいじめられるのを恐れるために同じようにいじめに加担する日本人、PTAや世間からの評価を恐れるために真相をさがそうとはせず、長いものには巻かれてしまう日本人。みんなと同じということで安心してしまう日本人。
令和5年現在の「日本」を表している映画でした。
誰が怪物なのか?
タイトルにもなってる「怪物」
結局、誰しも「怪物」の一面があるって言う事だったと解釈しました。
わかりやすいのはモンスターペアレントの安藤サクラや、父親から「怪物」呼ばわりされていた星川君とか。
内容は「嘘」「いじめ」「噂」「いじめ大事にしたくない学校」「親からのDV」「世間では許されてない恋」
目に見えない何かどろっとしたものが交差してる、そんな映画だったと思います。
回収して欲しかった内容は2つあって、
・猫を湊が殺したと嘘をついた女の子について。
→実は湊の事が好きでやってた?
・堀先生は作文の名前に気付いてなんで湊に謝ろうとしたのか。
→星川君と湊の関係に気付いた?
これについて誰が分かる人いないかな。
うーん、
湊と星川君は土を被って生まれ変わって、幸せになりたかったのかなぁ。
是枝監督作り方がうまい。
微妙に違う三枚の絵
是枝監督作品と言えば、やはり役者、それも「子役」の凄さ。
本作も、純粋で可愛く、残酷で切なく、まっすぐで歪んだ子供たちの心の動きが、観客である我々大人の「○○だろう」を次々と裏切っていく。
物語は、母親視点の1部と先生視点の2部、そして主人公視点の3部で、それぞれ同じ時間を振り返る構成。
様々な記憶の破片が、観客の「あ!それあの時の!」を何度も何度も呼び覚まし、同じ時間を描いたこの三枚の絵を重ねようとする。
でも、何か違う。
微妙にほんの少しずつ違っている。
大人たちの主観や思い込みは、現実さえ変えてしまうのか。
そしてラスト。
私自身、まったくそんな予感も無かったのに、最後のシーンで急に切なさが込み上げてきて、涙がこぼれた。
「僕たち、『可哀想』じゃないよ」
そうだよね。
むしろ「良かったね」なのかな。
子供たちは、大人の模造品でも試作品でもない。ましてや所有物では決してない。
それでも大人は自分の「こうあるべき」を押し付けてしまう。
「怪物」を「理解の及ばないモノ・得体の知れないモノ」とすれば、目の前の「あなた」も、もしかすると「私」自身も『怪物』なのかも。
脚本も素晴らしい。
坂本龍一の音楽も素晴らしい。
そして、やはり役者の皆さん。
もう、さすがとしか言い様がない。
本当に名演でした。
物語自体はシンプルとは言えないし、私が全て咀嚼できているワケではないけど、それでも是枝作品の中では圧倒的に好きな一本になりました。
内容がはっきりしてないつまらない
脚本賞受賞は納得
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