「真実に辿り着く難しさ」怪物 すみれ7878さんの映画レビュー(感想・評価)
真実に辿り着く難しさ
坂元さんというよりも是枝さんの作品だなあという感想を持ちました。是枝さんの映画はいつもすべてを完全には語らない。時にもどかしいくらい。すべてを語らずに鑑賞者の想像に任せている。この映画もラストシーンとかそうだったように思います。私は悲観的に見ましたが、楽観的に見る方も多いでしょう。まるで自分の心のあり様を試されている、心理テストのよう。俳優さんたちは子役も含めてすごく上手いと思いました。
安藤サクラさん演じるお母さんの怒り・苛立ちもよくわかるし、永山瑛太さんの教師の追い詰められ感も秀逸。そして最も理解を必要としていたのは湊君でした。彼についての真実こそがこの物語の核心ですが、親でも教師でも本人ですら正しく理解していくのは難しく、だから皆が表層的事実・現象に振り回される。大人の事なかれ主義・組織防衛論みたいなものが、ますます事態を混沌とさせる。ここらの脚本は、さすが坂元裕二さん。同じ時間軸を3回見せても混乱しない。うまく描いてます。こういうことは色んな局面で起こり得る。真実に辿り着くのは存外難しいものだとあらためて感じさせられました。
★追記--怪物について
この映画に「怪物」はいませんでした。苦悩する人々がいただけ。そこに至る環境があっただけです。いや、あれこそが怪物だという人はいるでしょう。ここらの感じ方も人それぞれ。心の持ちようだと思うのです。心を映す鏡のような映画だったのかもしれません。
こんにちは。
心理テストのよう。心を写す鏡のよう…という言葉が胸に残りました。私はその時どんな見方をしてたか。なぜそう思っていたか。。。
なるほど、そうかも知れないなとあらためて思いました。