「純真な少年達の童話」怪物 赤福餅さんの映画レビュー(感想・評価)
純真な少年達の童話
『罪と罰』
これは大人(少年法の適用範囲にて)が必ずや背負わなければならない規範である。刑法的な見地から。
劇中の大人達はギリギリそれを守り、そして子供は守らない、守る必要がない、そして大人を振り回す。
全く悪気なく。純粋に生きているならなおさら…
この映画は星川君が出てきた段階で初めて作品が2人の物語である事がわかり、それにともない他の方々は一気に後方に下がって状況の構築をするようになっていると思います。なので2人が直接見ていない周りのエピソードは、あっさりと描かれているようです。
今作品で最も気に入ったのは、麦君が星川君に抱きつかれた時の『自分に対する、そうしたかった自分と驚きにより突き放してしまった自分に戸惑う姿』がとても繊細で良かったです。これはやっぱり役者さんとそれを引き出された監督の素晴らしさなのでしょうね。
他の方も触れられていましたがこの作品では、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』をうっすらとしのばせてあると思いました。母子家庭であったり、友情をこえた「淡い少年達の恋心」に触れている点や電車の中を星々で飾る、お菓子を分け合うなどです。途中でそう思えたので最後までスッキリと観れました。
ラストはおそらく遺体で発見されているのでしょうが(銀河鉄道の夜では1人だけ)、映画冒頭から何度もでてくる『生まれかわったらどうなるの?』という問いに対し、作品では『2人で仲良く過ごしているんじゃないだろうか』という救いが与えられているだけに、没入して鑑賞されていた方はその熱量をはるかに上回る切なさが一気に押し寄せてくるのだと思いました。
ラストは泣けました。
最近思うのですが、『予告編が作品を台無しにしている』という事です。
この作品でもキービジュアルがバンバン出てくるので閉口しました。
予告編やチラシなどは極力見ないようにしていますが、それって全くの逆効果ですよね。
コメントありがとございまた!!
赤福餅さんの知見の広さ!見習いたいです!
「銀河鉄道の夜」や「星の王子さま」といった、他作品との比較は作品鑑賞の醍醐味でもありますよね!私も読んでみたいと思います!
ザッピングゲームも教えていただきありがとございます!☺️
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私、10年位前から、キネマ旬報、kinenote、Yahoo映画レビューなどに映画レビューを投稿しています。現在の目標は、2回目のキネマ旬報掲載です。こちらのサイトには昨年2月に登録しました。
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本作、結論を観客に委ねるタイプの作品でした。日本人が苦手なタイプの作品でした。特にラストについては意見が分かれる作品でした。
ラストは、二人の小学生に何かあったのではと感じさせるシーンと
二人の親密ぶりを描いたシーンから構成されていました。
私は、この二つのシーンから、現実は厳しい、それでもなお希望はあるという作り手の性の多様化に対する暖かな眼差し、エールを感じました。
作り手からの結論は提示されていないので、我々観客が考察するしかありませんが、私は、どんな作品であってもラストは希望、糸筋の光明で終わって欲しいと思っているので、こういう考察になった次第です。
観客の考察は千差万別だと思います。
ー以上ー