それでも私は生きていく

劇場公開日:2023年5月5日

それでも私は生きていく

解説・あらすじ

「未来よ こんにちは」のミア・ハンセン=ラブ監督が、父の病への悲しみと新たな恋への喜びという相反する感情に直面したシングルマザーの心の機微を、自身の経験を基に描いたヒューマンドラマ。

シングルマザーのサンドラは、通訳の仕事をしながら8歳の娘とパリの小さなアパートで暮らしている。サンドラの父ゲオルグは以前は哲学教師として生徒たちから尊敬されていたが、現在は病によって視力と記憶を失いつつあった。サンドラは母フランソワーズと共に父のもとを頻繁に訪ねては、父の変化を目の当たりにして無力感にさいなまれていた。仕事と子育てと介護に追われて自分のことはずっと後回しにしてきた彼女だったが、ある日、旧友クレマンと再会し恋に落ちる。

「アデル、ブルーは熱い色」のレア・セドゥが主演を務め、「王妃マルゴ」のパスカル・グレゴリーが父ゲオルグ、「わたしはロランス」のメルビル・プポーが恋人クレマンを演じた。

2022年製作/112分/R15+/フランス・イギリス・ドイツ合作
原題または英題:Un beau matin
配給:アンプラグド
劇場公開日:2023年5月5日

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映画レビュー

4.0 この監督らしい透明感あふれる映像と感情の軌跡が際立つ

2023年5月28日
PCから投稿

ミア・ハンセン=ラブが紡ぐ物語はいつも、眩しい日差しと透明感あふれる映像が印象的だ。たとえ主人公にとって辛く苦しい現実が舞い込もうとも、それをなぞるように日差しが陰ったり、透明感が薄れたりはしない。かくも悲劇性を強調するわけでも、楽観視しすぎるわけでもなく、とてもニュートラルな視座で観客の思考をいざなってくれるから、我々も個人の物語にスッと入っていける。また、主演のレア・セドゥの存在感も自己主張しすぎることなくそこにナチュラルに立ち、彼女の切れ長の目線が言葉以上に心の流れを投影する。父の介護と、自身が見つけた愛。これらを決して二者択一にせず、いずれの問題も片方を失う理由にはしない。ここが本作の特筆すべき点だろう。もちろん、そこには様々な感情の交錯がある。自分の本心と向き合い、家族や恋人、幼い娘に対して愛を伝える上で、主人公の”通訳”という生業が物語をそこはかとなく味わい深いものにしている。

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牛津厚信

4.0 ミア・ハンセン=ラブ監督の成熟と、同世代セリーヌ・シアマとの対比を思う

2023年5月5日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

ミア・ハンセン=ラブ監督の前作「ベルイマン島にて」(2021)のレビュー枠で、「EDEN エデン」「未来よ こんにちは」は乗り切れなかったが、「ベルイマン島にて」は劇中劇の入れ子構造を曖昧化する巧みさに感心した、という趣旨の評を書いた。1981年生まれのミアは十代後半で女優デビューし、二十代後半で監督・監督に転身。最新作「それでも私は生きていく」のストーリーには、哲学教師だった自身の父が晩年に患った病気をめぐるミアの体験と感情が反映されているといい、現在42歳の彼女の人生経験が近年の作品に深みを与えてもいるのだろう。

主人公のサンドラを演じたレア・セドゥは1985年生まれの37歳。カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した「アデル、ブルーは熱い色」を筆頭に、スパイ映画のファム・ファタールなどセクシーな魅力を放つキャラクターを数多く演じてきたが、本作のサンドラは通訳者として働くシングルマザー。衰えゆく老父を世話したり施設で見舞ったりすることもあり、髪はショートヘア、服装も比較的シンプル(とはいえ、妻子持ちのクレマンとの関係が発展してからのビビッドな赤のアウトフィットも印象的だが)。レア・セドゥの新たな魅力を引き出す監督の狙いは確かに成功している。

ハンセン=ラブと同世代のフランス人女性監督でいうと、現在44歳のセリーヌ・シアマの作品群(「水の中のつぼみ」「燃ゆる女の肖像」など)のほうが個人的には好みだ。監督デビューも同じ2007年の2人だが、フランスの国立映画学校ラ・フェミスで学んだシアマがストーリーと映像を緻密にロジカルに構築し、同性愛の要素さえも普遍的なテーマへと昇華させてきたのに対し、女優出身のハンセン=ラブは自身の体験にゆるやかに基づくエピソードの断片を、感性を活かしてつないでいく作劇という印象。大雑把な比較だが、自分なりに好みが分かれる理由を説明するとそうなる。ちなみに、シアマ監督の最新作「秘密の森の、その向こう」にも、実の祖母の晩年が反映された部分があるという。衰え死に近づく家族に向き合った体験を創作に組み込む、両監督のアプローチの違いも興味深い。

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高森郁哉

4.5 レア・セドゥの演技に魅了された。

2025年10月7日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

泣ける

単純

癒される

CSで録画視聴。
レア・セドゥ目当てで観たが、作品全体からも色々考えさせられた作品だった。日本だけでなく、まず欧米やアジアも同じではないかと思わせた介護と生活、社会との両立。自分も同じ状況だけに身にしみた。レア・セドゥの演技は素晴らしかったし、共感。

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ナベさん

3.5 何も起こらない映画

2025年10月6日
Androidアプリから投稿

何も起こらない、特に好きな感じでもないけど見ていて苦痛でもない、こういう映画撮れる人は本当に上手いんだろうなと思う。レア・セドゥはキレイにしてなくてもキレイだね、目の下のクマさえもあってしかるべきだと思わせる。日本女性が憧れるフランス人、それがなぜあんな優柔不断なよなよ男にそこまで惚れるのか、まあ人の好みに文句つけたってしょうがないけどさ、まあ裏切られそうーと思っちゃうよね。

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柴犬泣太郎

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