「これはなかなかの作品ではないでしょうか」名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン) かっちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
これはなかなかの作品ではないでしょうか
この映画のキモとなるのが老若認証システム。
まあこの手のシステムが唐突に出てくるのは違和感ありまくりなので、開発者の幼少の頃の灰原とのエピソードで開発を始めたというくだりは、まあそれなりの理由付けにはなってアリとは思いますが、あろうことかこのシステム、灰原をシェリーと認識してしまいます。
ジンみたいな人間にはこの時点で、死んだ女性と生きている少女を同一人物としてしまう「クソシステム」という先入観が沸くわけですが(これが後の破壊に繋がる)、灰原がシェリーと知っている人間、コナンや視聴者には、これがとてつもなく正確な恐ろしいシステムだという認識になるんですね。
また、ウォッカみたいなちょっと抜けた人間が、科学的根拠もないまま、灰原=シェリーという考えに到達してしまい、それが逆に脅威になるという作りになっています。
そして組織の中でも、このシステムが必要なグループ、邪魔なグループに分かれる構図になっていたのも良かったですね。
もちろんコナンにもそのシステムが邪魔なわけですから、偶然に利害が一致した組織側に、コナン側が結果的に助けられたという話になりました。
その辺がなかなか面白くて良かったと思います。
蘭とコナンと灰原の三角関係は当人たちの問題なので論評しませんが、あえて言うなら、灰原の「私たちキスしたのよ」というセリフは、灰原がコナンを相当意識している証拠であり、逆にコナンが蘭の前でも平気で灰原に口を付けようとしたシーンは、コナンが灰原を全く意識してない証拠なので、それに気付いた灰原がコナンの口を止めたということなんでしょう。
しかし視聴者にとっては、酸素を通じて間接キスを繰り返す灰原とコナンの場面は非常に重要であり、これからの展開を期待する要因になって、その点も良かったですね。
また今回更に良かったのが、ピスコやアイリッシュのように、コナンの正体を見破った組織の人間は何故かジンに殺される説を継続したことですね。