ゴジラ-1.0のレビュー・感想・評価
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戦後、日本、ゼロから負へ
泥臭く王道を貫く大作。
戦後の日本を舞台に、零戦部隊として特攻隊から逃げ帰った主人公がゴジラとの戦争に臨む。
所謂クサい台詞回しや、超王道の展開を最後まで貫く事ができるゴジラというコンテンツの力は流石。
現実性などは見ないとしても、作戦の仕組みは面白みがあり、熱線の演出も気合が入っている。
ゴジラという唯一無二な存在へのリスペクトを感じるラストも良い。
ここまで力の入った邦画新作を観れる事に嬉く思う。
幸せを拒み続ける元特攻隊員を描く
ゴジラは怖いし、VFXも素晴らしかった。でも今回はそれらに劣らず人間ドラマが良かった。戦争による心の傷と後悔で、幸せを拒み続ける元特攻隊員のお話でした。彼が再生しようと立ち上がるたびにゴジラが立ちはだかり、さらに絶望へと追い込む。特攻で死に損ねた彼の選択とは…。
ゴジラを見るのは1984年版以来でした。84年版は当時でも約10年ぶりのゴジラ作品で原点回帰作。人類に破滅をもたらす脅威の存在でした。子ども心にものすごく怖かったのを覚えています。ただ、その後は怪獣映画全般に興味を持てず、ゴジラもモスラもガメラも素通りでした。今作は予告編に興味を惹かれましたが、山崎貴監督なので見なくていいや…という気持ちに…。だってゴジラは主人公の見た悪い夢でした~♪VRでした~♪なんてことになったら嫌じゃないですか(笑)。ところが映画.comの星は悪くないし、知人が口をそろえて「面白かった」「映画館で見たほうが良い」というのです。それで一転見ることに。
CG?VFX?すごい。ハリウッドに引けをとらない。キムタクヤマトでも「すごいな、日本も頑張ってるんだな」と思いましたが、今は輪をかけて進化してますね。ゴジラの波打つうろこ、機雷攻撃の後に再生する皮膚、熱線を放ったあとまだ口の周囲が燃えている表現。ゴジラはまさに生きている。動く災害なんだと。84年に見たあの恐ろしいゴジラの再来なんだと。すっかり夢中になりました。人類のために異星人だか怪獣と戦うぬるいゴジラなんかいらない。ずっと人類の脅威でいてほしい。恐ろしく、絶望的に強く手ごわくしぶとい。そんなゴジラ好きがです。
それから人間ドラマ部分。主人公は特攻隊員ですから、元から優秀なひとであったのでしょう。しかし作中では復員兵の一人にすぎません。戦争にゴジラに翻弄され、市井の一人。それでも生きていく。生きていかねばない難しさ、尊さ。死を賛美することはない。だけど死んでいった兵士たちをあざ笑うこともない。絶妙なバランスで命の大切さを説いた作品です。正直、震電の操縦をレクチャーするシーンで、その後の展開は読めてしまいましたが、予想が当たってこんなに嬉しかったことはありませんでした。
キムタクヤマトやヤマト復活編では、あたりまえのように特別攻撃が出てきて、「独身者の命ってそんなに軽いの?」「簡単に死を選べというの?」と幻滅したものですが、この作品は違います。山崎貴監督と言えば、元になった作品のファンをないがしろにする映画ばかり撮る…という印象があったのですが、これは素晴らしいの一言です。お勧めします。
個人メモ
X(旧Twitter)で、GIの姿が描かれない、歴史の捏造だ、何らかの政治的意図だ、陰謀だ…という意見が散見されましたが、主題はそこにないので詳しく描写しなかっただけだと思います。
バランス良い傑作
令和版は「死なない」
話題となっているため、つい見てしまった。
海上が多く描写される今回にふと「船弁慶」を思い浮かべる。
ゴジラは知盛の「怨霊」であり、相対する人々は頼朝であり弁慶では、と。
果たしてゴジラとは何だったのか。
先述したとおり源氏に敗れた平家の「怨霊」が閃いた時、主人公もその一部と体現していたように、敗戦後の日本に渦巻く負の情念を具現化したもの、心象風景ではないかと思っている。
それら鬱々としたものが街を、人の心覆い破壊、蹂躙しているのだとすれば「負けるな」と言わずにおれず、国が動くのではなく、民間の一人一人が立ち上がる(生活を取り戻す)のも的を射ていて、手に汗握って観ることができた。
さらにかつてのパターンであればカタルシスはブラックさながら犠牲が華。演歌よろしく「死」にあったわけだが、今回そうはなっていない。みごと時代に合わせた人権重視のホワイト仕様。しかしながら感動を呼ぶ締めくくりだ。
負けの美学に自分酔い。お涙頂戴で終わるのだろうと思っていたせいもあって、酔う事なく現実と正面から向き合い(ゴジラとの対決)なおかつ決着をつけて受け入れ次へ進む展開は日本の戦後エンタメではほぼ記憶になく、非常に驚かされた。
このマイナーチェンジは作り手が「戦争を知らない」せいもあるように思え、
しかしながらそれが引け目となることもなく、知らないがゆえ前向きに作られているようで、むしろ不思議な希望を感じている。
時代は変わってゆくのだなぁ、と。
もちろんVFXは見ごたえあり。
「男子のロマン」がふんだんに詰め込まれている気もするし、「シンゴジ」山崎版を思わせるようでニヤリも止まらない。
ただ最近、VFXの質がかなり上がってきているので、実写パートとのちぐはぐが気になった。なにしろゴジの破壊力、凄まじ過ぎなので実写シーンにもそれなりの風圧、砂塵、音圧等々、余波の生々しさが欲しかった。どうにもアッチとコッチで空間が断絶しているようで、臨場感に物足りなさを感じた。
ゴジラテーマソングの高揚感
主観性が強調されたゴジラ作品
〝類は友を呼ぶ〟とも言う。
「亡霊に取り憑かれること」は即ち「その者の体内時計が止まっている」ことに近しいと、ホラー研究者の文で読んだ記憶がある。
その意味において、「ゴジラ-1.0」の神木隆之介演じる主人公敷島の体内時計は、戦中のまま止まっている。
特攻作戦から生き残った敷島は、まるで亡霊のように幾度も、姿形を肥大させてゆく〝ゴジラ〟を目撃することとなる。
今作においての特徴は、怪獣映画としてゴジラを描いたことよりも、争いにおける科学競争の影で生まれてしまった怪獣(ゴジラ)というものを、とりわけ主人公個人における戦争の象徴として表現した点である。
よって従来の怪獣映画とは変わり、主人公の個人視点から描かれた、主観性の強調された映画であった。
その意味では解説台詞は多かったかもしれないが、作品意図として、主人公にとってのゴジラを描く分には必要だったことを思う。
特に画作りにおいても〝従来よりもゴジラが近く感じた〟との評を聞くと、そうした主観的視点の表現上においても成功していることを感じる。
脚本上の、モノローグのような、あえての〝分かりやすさ〟も、決して、登場人物たちの演出を損ねる方向には働いていないと感じた。
ラストのオチは好みを分けるかもしれないものの、映画で行いたいことの狙いが観た側としてとてもまとまっていた印象をもった。
怪獣と自分、といったレベルで、その人の象徴性として描くことのひとつの成功例なのではないかと思う。
〝類は友を呼ぶ〟ように続編もまた見てみたい。
その時「-2.0」になるのか、それとも他の「-1.0」になるのか、楽しみだ。
…と、思いつつ、体内時計を進めて生きるべきではあるのだ。
最高でした
70周年記念作品という事でせっかくならと初めてゴジラを体験してきました!
今までの作品を未鑑賞なのでゴジラがどのような存在なのか、過去作品のオマージュなどは分かりませんでしたが、それでもひとつの映画としてとても楽しめました。
人間ドラマがあるのにゴジラという存在を食うことなく、かつ(視聴者目線では)最後まで描き切っているのが凄い。よくある怪獣が登場するシーンまでが長いなども無く、様々なゴジラが見られます。
山崎監督が仰っていた「神と獣の間くらい」という言葉通りのゴジラで、初めてゴジラを視聴した私はゴジラというより荒ぶる神を観ている感覚でした。銀座が破壊されていくのは不思議と爽快感があり、同時に人間達の抵抗も応援してしまう、不思議とストレスが無い映画だと思います。
熱線を放った後のレイアウトがとても綺麗で、怪獣というものに対し初めて何を思っているのか問いたくなりました。ゴジラへの敬礼など、とにかくゴジラへの畏怖も凄まじい映画です。
野田博士の「命を粗末にし過ぎました」あたりの話や死人0を目指す海神作戦、敷島が生きる理由、戦争に行ったことのない水島の存在など、徹頭徹尾「生きて、抗え。」とは何なのかを視聴者に伝えてくるストーリーで見やすい印象です。
過去作品も少しずつ見始めているのですが、初代あたりは反戦や核反対などを訴えてくるようなストーリーですが、シンあたりでは戦い死ぬ覚悟を決めるようなストーリーに移り変わっている印象です。そして70周年記念作品であるこの作品で「生きて、抗え。」というキャッチコピーはたしかに王道になるのかもしれません。これからのゴジラシリーズも楽しみです。
ドラマ部分が-1
特撮映像はなかなかのものでした。
ハリウッド映画に比べても遜色ないのではないでしょうか。しかしながら、ドラマ部分が演出、台詞ともに特撮のレベルに見合ってない感じがいたしました。
たとえば終戦直後の日本の再現にあちこち違和感を感じました。また、台詞も寒く学芸会でもあるまいに力いっぱい吐き出す台詞でいちいち感情を説明されると興ざめしてしまいます。
もっと観客を信頼して言葉でなくても伝わる方法もあるはずです。作家の自己満足でなく推敲を重ねて練った脚本と演出でお金と時間を使ってる観客により満足と感動を還していただきたいものです。
まあ、近頃はハリウッド映画でも特撮頼りでドラマがぐだぐだの作品も少なくないですが、やはり映画は脚本で骨格となるものです。製作関係者のみなさんにはそれなりで満足せず、高みを目指していただきたいと期待するばかりです。
以上、年寄りが勝手を申しましたが、ラストでは涙してしまいましたこと付け加えさせていただきます。
凄いゴジラ映画の完成
アトラクション!ぜひ映画館で観たい
ゴジラ映画は割と観ているけどシンゴジラは生々しい感じがありましたが今回はゴツい感じのゴジラ
CMや特報で流れてる銀座のシーンで見れるように脚がすごい印象的です。
戦時下から戦後が時代背景ですが、特攻の生き残りとして登場する神木くんがものすごく荒んだようなワイルドな風貌で今までに観たことがないような表情で素晴らしかった。
CGについては、銀座の街をぶっ壊す感じとか、爆風の感じ、海を泳ぐところ素晴らしかった
銀座のシーンはザ怪獣映画っていうか、リアルではないんだが、電車を咥えるシーンは古典というかお約束というかですね
この映画はやはり日比谷の東宝で見るべき映画でしたねw
割と音が静かな中、クライマックスでかかるあのゴジラのテーマがすごいテンション上がりました。
シーン的とかストーリー的、突っ込みたいところはしばしばあるがwそれでも大画面で大音量でゴジラの雄叫びを体験するべき映画ですね。
(偉そうに)次第点は取れてる
ゴジラは圧倒的だった
映画館にて鑑賞しました。
自分の中で怪獣映画は「怪獣がどれほど暴れているか」、「怪獣が絶望的な存在か」、「怪獣をいかに攻略するか」が重要な要素だと思っています。
その点で暴れ具合と絶望感はとても良かったと思います。東京の街がどんどん壊されていく様や、島で敷島が初めてゴジラと会うシーンは絶望感を感じました。ゴジラの咆哮はとてもシビれましたし、メインテーマが流れると「ゴジラが来たーーーー!」とワクワクできました。
ただ、単純に映画として没入しきれませんでした。自分がそう感じた理由をかなり率直に言うと、脚本が正直薄い、脚本の影響か俳優さんの演技が全体的に上滑りしているように感じた、ちょくちょく演出が間を悪くしているところです。
特に演出の部分では、最後のゴジラに戦闘機が突撃するシーンで音が止まり遠くから戦闘機が飛んできますが、注目してくださいよ感が際立ちすぎ、また敷島の画面が挟まることで、この後どうなるんだろう、と考える時間を必要以上に与えられたことが突撃する瞬間へのハードルを必要以上に上げてしまったと感じました。
カメラワークは古い映画を意識しているのかな、となんとなく感じるシーンがあり、そういった所は割と好きでした。
シン・ゴジラよりも万人が見やすい映画なのかな、とは思いましたが、あまり特徴がない映画だな、と感じてしまいました。
泣けた。シン・ゴジラを超えた。
"接近!!"
「シン・ゴジラ」ではたしか "光線!!" と書いた。そのくらい鮮烈なイメージだった。少年時代のゴジラは「放射能」を吐き散らすと頭に叩き込まれていたから、俺の頭の中では、効果上は光でも、初代ゴジラが口から吐いていた、煙というか炎といったイメージから変われずにいた。それが、「シン・ゴジラ」では、あろうことか、全身から四方八方に照射する、まさに "光線" だ。ストーリーももちろん面白かったが、怪獣映画という面から、最も心に残った「シン・ゴジラ」の絵は、 "光線" だ。今思い返しても、美しく、そして冷淡に全てを破壊していく。
さて、本作「ゴジラ -1.0」だ。俺の印象は、"接近" だ。そこにいるゴジラ。電車を、ビルを破壊しまくる従来からのゴジラ描写に加えて、島でも銀座でも、逃げ惑う人々を咥えて投げ飛ばす。この頭部の激しい上下動は、これまでのVFXでは行われてなかったんじゃないかな。地面にいる人間に迫る頭部は、新たな恐怖を映画に与えたと思う。
そういう面では、平成ガメラシリーズリスペクトを感じる映画だったなあ。
山崎監督(貴)が楽しそうに撮っている様子が目に浮かぶ。やっぱりこの人、特撮監督だよね。そこに専念しちゃえばいいのに。
一方で、それによって爬虫類らしくなり、いくつかのシーンで、そこはかとなく "ジラ" 感が漂ったように感じたのは俺だけだろうか。
そして、音楽。伊福部さん(昭)作の「ゴジラマーチ」を前面に押し出したのは、俺にはとてもよかった。主題はゴジラというどうしようもない "巨大災害" と、絶望感の中でも抗おう(あらがおう)とする人間たちだろうから、ゴジラと戦う人間たちの場面で流れるゴジラマーチはぴったりだ!今回はメーサー砲もなく、旧式の機雷や爆薬しかないので、より大変そうだったが。(笑)
おまけ1
しかしムキムキのゴジラだったなあ。山崎監督の印象はあんな感じなんだね。
おまけ2
東宝が「ゴジラ生誕70周年記念」と銘打ち、VFX大好き山崎監督が撮り、神木さん(隆之介)、浜辺さん(美波)と、これなら文句ないだろうという配役、という鳴物入り映画だから、明るい話にしたかったのだろうが、浜辺さん、あまりにも強靭なり。そこに感動。
11/15 追記
そっか、浜辺さんの強靭な生命力は、再生力のあるゴジラ細胞の影響を受けたためなんですね。他のレビュー読んで知りました。そして放射線を浴びた影響のケロイドも、とのこと。みんな、よく知ってるし、よく観てるんですねえ。感心。
おまけ3
リスペクトと言えば、海上シーンのクライマックス部分、船たちが来るシーンは、「ダンケルク」リスペクトだよね。海の色まで似せてたものね。ノーラン監督を好きなのかな。自分は好きなシーンでした。
おまけ4
そして最初の熱線放射シーンは、明らかに、"巨神兵(「風の谷のナウシカ」)リスペクトなんでしょうね。チュドーン!
11/15 訂正:SFX→VFX
撮影後の編集段階、今の言葉で言えばポストプロダクション段階で加えられる特殊効果はVFXと呼ぶんですね。言葉の違いを理解してなかった自分を反省。
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撮影現場での効果を特殊効果 (SFX special effects) と呼ぶのに対し、撮影後のポストプロダクション段階に付け加えられる効果を視覚効果 (VFX Visual Effects)、と呼ぶ。(以上、Wikipedia から引用)
やはり娯楽映画に徹しきれない感じ
何故なんだろう。ハッピーエンドとメッセージ性で高尚な作品にしたい!俺って社会派系だ感丸出しで観ているこっちがド恥ずかしいよ。核実験へ意見したいとか、災害時の協力的姿勢をアピールしたいとか、要らねえよ。マッドマックスとかエクスペンダブルズでもっと勉強して欲しい。
特攻崩れならステレオタイプだけど、復員したら極道一直線で、拾った母娘はパンスケに落として米兵相手にヒモ生活。
最初の上陸で、母娘ともゴジラにやられて初めて母娘を愛してたと気がつくとかにして、そこから不良米兵と戦友集めてリベンジ、とかにしてもらいたかったね。ここら辺はやっぱ仁義なき戦いの川谷拓三さんとか観て勉強しろ!
…あ!だいたい特攻機に挟む写真が母娘じゃなくて女だけじゃん?なんか思い出してイライラしてきたよ。
大戦時の兵器の画は良かった。
だがやはり、バイクと革ジャンとか秘密兵器で特攻って、ゴジラというキャラ以外は、トムクルーズのトップガンと、ジェイソンステイサムのMegモンスターのパクリに不必要で効果の無い邦画独自の感動要素を盛り込んだ過去のヒットに胡座かいているだけのど三流な駄作だな。あとセリフ的にはランボーもパクってるよね?やる事がセコすぎてある意味泣けたわ。
あの脚本でそこそこの才能ある監督ならもっともっとカットして70分位にまとめられると思うね。いっそのことMegのスタッフに作り直して貰えば?
折れない日本人が、あの艦とあの幻と共に闘う世界線
政治性や各演技、演出や見せ場の選択など、本作にはやはり色々細かい我々日本人観客からの賛否が分かれているようです。しかしワタシ的には、端的にとても良くできた感動娯楽映画だと思いました。
結果的に米国や世界でどれだけ売れるか分かりませんが、日本にも21世紀が20年過ぎて漸く
「特撮娯楽+感動+自分たちの民族性を誇りを持って分かりやすく堂々と見せる」
映画が出てきたかと思えて大変嬉しいです。世界にフツーに売りに出せる良作。
特撮や演出も、出来る限りを無理せず見せた過不足のない表現で「アベンジャーズ」やら「ダンケルク」のようなド派手さや過剰な?緊張感はありませんが、寧ろ却って現実感を覚えました。どうしても現代日本人的になる使い言葉や風貌はともかく、あの頃の日本人はあんな感じの人々、雰囲気だったのかもしれません。
若い主人公、ヒロインとも怪獣映画という前提と時間枠の下で、同時に求められる80年近く前の役柄の時代的心情や感情表現を見せるのは大変難しかったと思います。よく頑張った。
そして本作で出色だったのは艇長はじめ素晴らしく各人個性を発揮した脇役陣や、(撮影時には実際いない)巨大生物をただ見つめる、又は逃げる、叫ぶだけのチョイ役・モブの全く隙のない演技とその撮影。これらはハリウッド映画でも一線級作品以外ではできず、同じくワタシ的には(独特な日本の独特な映画として)傑作だった「シン・ゴジラ」よりも遥かに素晴らしかった。
そして、本作では太平洋戦の“隠れた帝国海軍(損耗率6〜8割)”だった木造民間船や、史実では戦いを生き残り戦後自沈・爆破・原爆被験体となったフネが、銀幕上で今一度死力を尽くして戦っています。そしてあの幻の異端児も… 子供の頃プラモデルで、大人になってから(笑)はアニメで見知ったあの海空の勇者たちが、ただただ“怒れる邪悪な神”、大自然からの“終末兵器”と化したゴジラに向かっていきます。素晴らしい、そして、ありがとう。
後日蛇足
またDolbyCinemaで見てしまった、至高。
それを前にふと本作のWikipedia 英語版を見たら、「本作は日本では好評不評入り混じった反応である」とあってちょっと驚いたのでその辺り見てみたら、映画批評の大御所?四方田犬彦氏や英字紙等のリベラルぽい方々を中心に復古愛国・好戦的で危険、内容上滑りなエンタメ(ですがなにか?)だとの【少数意見】が絶賛大声でそちら界隈にあるんですねー知りませんでした。監督がそんな皆さんお嫌いの危険なダメ映画(実際国内大ヒットしましたが‥)「永遠の0」を撮った山崎監督で、零戦・人間味ある特攻隊員・なんぞやを守る為に戦うと、いうのが重なってしまいどうもお楽しみになれないようです。
私は山崎氏は娯楽芸術的商業映画製作の名人で、今回も初めから戦争や日本の機微にそう詳しくない日本人中年まで層や欧米人向けに果断に作った記念碑的まじめ風ゴジラ娯楽作品が、見事ツボにハマってスマッシュヒット(ちょい死語)したものに過ぎない(ごめん偉そう)と思ってますが、嫌いな方にはそこも癇に障るようです。めんどくさいな。トマトメーターは依然98%だあんち野郎ども!
あっ、そんなことよりアカデミー視覚効果賞受賞の本邦初快挙、おめでとう!!
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