「ベタな展開の中に確かな信念を感じる。」ゴジラ-1.0 頭肩膝爪先さんの映画レビュー(感想・評価)
ベタな展開の中に確かな信念を感じる。
オスカーの栄誉を手にした映像効果について素人の私が言及するまでもない。ゴジラシリーズの中でも最も生き生きと動き、戦慄と恐怖と興奮を感じさせ、そして神的な畏怖を感じるゴジラだった。文句などつけようがない。
心理描写と説明的な台詞に文句がある人もいるのだろうか。甚だ理解できない。ゴジラ映画に生活的で人間的なリアリティを求めるなどお門違いも甚だしいと思うばかりだ。
ゴジラ映画になくてはならないのは、ゴジラとはなんなのか、そういう信念だ。この映画にはそれが確かにあった。
ゴジラが原爆や水爆のメタファーだというのはなんとステレオタイプな考えだろうか。シンゴジラを見れば、あの絶望感と既視感が東日本大震災の経験から来ることなど容易に想像が付くはずだ。
そして今作のゴジラは、もっと神的なものに近付いた。例えるなら巨神兵といったところだろうか。あるいは巨人の地ならしか。なんの意味も、思想もなく、ただ日本を無慈悲に蹂躙する神。これこそが、山崎監督のゴジラ観であり、それはインタビューからも明らかである。
怪獣映画としてのゴジラのクオリティとゴジラに対する確固たる信念。これこそがこの作品がまごうことなき傑作である証だ。
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