「天災級」ゴジラ-1.0 U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
天災級
凄かった…。
神木氏が終始神がかってた。
もう災害としか呼びようのないゴジラ。目的も意図も明かされはしない。地球の覇権は人が掌握してるなんて事は全くなく…生物の頂点として君臨してた。
1作目へのオマージュも多かったと思う。
CGもえげつないのだけど、脚本が俺は好きだ。
キャラが背負う十字架が、終盤ゴジラに収束されていく様に胸が熱くなる。
冒頭、特攻隊でありながら命を捨てる覚悟が出来なかった敷島が、戦後の復興の中、ノリコやアキコと関わるようになり、命を賭ける動機が明確に出来上がる。彼にとってゴジラは「戦争の脅威」だったのだろう。
この筋が全くブレる事も揺らぐ事もなかった。
世界的スターのゴジラは脇役だ。
安藤さんの役所も味わい深い。
母であった彼女には、隣人を罵っても隣人の赤子を見捨てる理由がないのだ。もう無条件で抱き上げる。一回抱き上げたらずっと…手離す理由もない。
女性ってのは強いなぁと彼女を見て思う。彼女の手の届く範囲では、彼女に頭が上がらないように思う。
戦争帰りの人々の気概にも震えてしまう。
あの巨体を前に何が出来るというのだろうか?
でも立ち向かう。
一点の目的に突き進む。覚悟さえ決まれば迷う事などないのだ。日本のDNAを見てるかのようだ。
…最近、そのDNAは薄れがちだけど。
などなど、実に濃厚なヒューマンドラマが展開される。そして、今回のゴジラは見上げるアングルが多かったようにも思う。同時に足下のカットも印象的だった。
そんな事も含めて、人の視点ってのがドラマを織りなす上でも重要だったのだろうと思う。
当のゴジラは海面のカットがえげつなかったなぁ…。白組はホントにいい仕事をしたと感謝したい。
今作の造詣も素晴らしくて…なんだろ、見上げるばかりの存在で、意思も意図も不明で、言葉も通じず、無慈悲な破壊力を持ちつ神の如き存在で…崇めるのではなく、恐れ慄く方の。
人智の及ばぬ存在感であった。
いやあ…凄かった。
昨今、ハリウッドでもリメイクされるゴジラ。何故そうなったかの要素が全部詰まったゴジラだった。
ゴジラの体はしてなくても、ゴジラ程理不尽な事は多々起こる。それらを駆逐し乗り越える為に覚悟と信念は不可欠だ。相当しんどい。
けれども、生きていく限りその先にしか幸せも充足もない。今は負けても次は負けるな。
敷島に覚悟と信念が芽生えたように、自分達にも命を賭してまでやり遂げなきゃいけない理由が産まれるかもしないし、そうでなくても人は成長する。
「生きろ」その言葉は時に残酷ではあるけれど、前に進む限り逆転のチャンスは生まれ続ける。
そんな事を思った今回のゴジラだった。
共感ありがとうございます。
時代設定を終戦直後にしたことが奏功していると思います。
敗戦とゴジラ出現という二重苦のなか、抗う武器も殆どない状況で、
それでもなお、知恵と勇気と団結力でゴジラに挑んでいく人々の姿が感動的で勇気を貰えました。
橘が敷島に放つ”生きろ”という台詞が、本作テーマを集約していました。あの台詞だけで胸が熱くなりました。泣けました。
では、また共感作で。
ー以上ー