「ファンタジーとドラマのバランスが最高のゴジラ」ゴジラ-1.0 烏丸沙鴎さんの映画レビュー(感想・評価)
ファンタジーとドラマのバランスが最高のゴジラ
『シン・ゴジラ』は賛否両論でした。
誰が主人公なのか、ドラマよりは現代日本のドキュメンタリーのような作品でした。
今回は監督が山崎貴ということで『ドラゴンクエスト』『STAND BY ME ドラえもん』の失敗で否定的な意見がかなり多かったが、評価が一気に変わった作品でした。
個人的には蓋を開けて見たら『ゴジラ』というコンテンツで真っ直ぐに人間を書いてきた印象です。
主人公たちがみんな汚いのも良かったです。邦画でありがちな主人公だけ綺麗じゃなく、みんな戦争の疲労と汚さがあるリアリティが良かったです。
監督の『ALWAYS 三丁目の夕日』『永遠の0』『アルキメデスの大戦』などの作品の集大成的な作品でした。
またちゃんと模範的なストーリーの手順も守っていて早い段階での小型ゴジラの登場(ゴジラタイトルの回収)や主人公の葛藤やそれを乗り越える描写もあり、一般作ではストレートな作品ですが『ゴジラ』というシリーズで火の玉ストレートでやったことに意義があると思います。(仮にコレがガンダムならコケてました)
個人的に好きなのは最初の小型ゴジラに九九式短小銃で発砲するシーン。あまり旧軍の小火器で怪物と戦うというのが見られないので印象に残りました。
また小型船で追われるシーンは『ジョーズ』のオマージュでしょうが、ゴジラの顔を至近距離で長く見せるというあまりないスタイルで好感が持てました。
良いことばかり書きましたが、シナリオには少し矛盾を感じたところもあります。
本編にアメリカがソ連とミリタリーバランスが崩れるから日本がどうなろうと手を貸さないという描写がありました。
しかし、アメリカが自軍の艦船を破壊され死人が出たらどんな手を使ってもゴジラを殺害するでしょうし、また誘導が出来るのであればゴジラをソ連に誘導するなど利用したことでしょう。
そして日本政府が全く動けないというのも疑問でした。これに関しては必然性が『シン・ゴジラ』の方にあったと思います。(内閣総辞職ビームで亡くなっている為)
また情報統制と言いながらゴジラの情報がラジオで流れるのも矛盾してたように感じます。
なんだかんだ書きました今年一番面白かった作品でした。
怪獣映画は映画館で大迫力で見るべきです。
正規料金払っても楽しかったと言える映画でした。