「IMAXでゴジラを楽しむだけの映画」ゴジラ-1.0 オニオンスープさんの映画レビュー(感想・評価)
IMAXでゴジラを楽しむだけの映画
これまでゴジラ関連の作品を見たことが無く、今作が初です。なので見当違いな事を書くかもしれませんが、そこはどうかご容赦ください。
圧倒的な映像美とゴジラの造形、文句なしに最高。あの皮膚のゴツゴツ感に、背中の突起、光線を出すモーションからの光線の破壊力の演出、ゴジラの再生されていく様子、建物が紙クズの様に壊されていくシーン、全てが緻密でかっこよく、少年心をめちゃくちゃ刺激され、特撮をあまり見ない私からすると、ほぼ全ての映像に新鮮さと驚嘆さ、また非常に高い高揚感を与えてくれた。このゴジラを見るためだけに、映画館に足を運ぶべきだ。
ただ、他のレビューでも散見するが、映画の内容は、二の次感が否めない。私も細かいところが気になってしまって、作品全体を通してそこまで、良い点数にはならなかった。
役者が全体を通して説明口調、自分の感情をペラペラ喋る。せっかく豪華な俳優を起用しているのに非常に勿体無い。
船の上で機関銃を撃っているにも関わらず、銃の反動が一切なく、全く体がブレない敷島(神木さん)と水島(山田さん)。
ゴジラにどう考えても近すぎるリポーター。
人でごった返している銀座で運良く見つかる大石(浜辺さん)。
ゴジラに街を破壊されて、放射能まみれにも関わらず、調査員の雨しか防いでくれなそうな薄すぎるカッパ1枚という装備。
ゴジラの駆除という明らかな国家案件にも関わらず、科学者がたった1人で立案した作戦を遂行する甘さ。その作戦に100人足らず、という明らかな人手不足。などなど、細かく挙げるとキリがない。
だが中でも取り上げたい事が2点。大体の人と被るが。
1点目は、敷島の特攻。
戦場に心だけが取り残されている敷島の葛藤は理解できる。立ち直りかけた矢先、大石が亡くなり、また気持ちが振り出しに戻るのも理解できる。自分がゴジラに特攻する事によって、亡くなった整備士達へのある種の罪滅ぼし、大石への想い、自分の気持ちに整理をつけ完結させるという事もまだ理解できる。
ただ、橘(青木さん)の「生きろ」というたった一言で、脱出して生き延びるという選択は理解出来ない。敷島は様々なモノを背負って戦闘機に乗り込んで、覚悟だって決めていたのに、あの一言だけで選択を変えさせるのには、あまりに説得力に欠ける。2人のあのシーンのやり取りを個人的には、もっともっと深掘りして欲しかった。まだマシになった。
まぁ敷島がまた「逃げた」という捻くれた解釈もできなくはない。
2点目は、大石の最期
あの状況から大石が生きているのは無理がありすぎる。入院姿も包帯を巻いてるだけで体は不自然なほど綺麗。胡散臭いハッピーエンドだった。
考察でゴジラの細胞が転移?した、みたいなのが挙げられており、根拠として大石の脅威的な再生能力、最後の意味ありげな首の黒い模様としている。
もしそれが本当なら、何故、大石と同じ場所にいた大勢の人をはじめ、ましてや、しっかりと黒い雨にも浴びている敷島にはそれらの転移が見られないのは不思議でしょうがない。
終いには、病院側が人命を助けるため、治療としてゴジラ細胞を埋め込んだ、などの映画では一切描かれてない、妄想や陰謀に近いめちゃくちゃな事を言い始めていた。
これには流石に笑った。
あれこれ言ったが、決してこの映画は駄作では無い事を強く言いたい。個人的には非常に惜しい映画だった。これで内容も完璧だと、映画史に残る映画になったのでは?と感じる。
感覚的には映像で⭐️5まで引き上げて、内容は−⭐️.5という感じで⭐️4という評価を付けた。
内容云々より、なんといっても映像美、この映画はこれに尽きる。
最後にこんなしょうもない感想を読んで頂きありがとうございます。
どんな意見でも気軽にコメントして頂けると幸いです。