「海戦はスゴいけど…日本人としては「?」」ゴジラ-1.0 ドラゴンミズホさんの映画レビュー(感想・評価)
海戦はスゴいけど…日本人としては「?」
迫力はあったが内容には「?」になった。
●CG特撮がスゴい。
CGに関しては日本もハリウッドと遜色ないと思った。
「シン・ゴジラ」にはなかった海戦が迫力があって、良かった。
●戦後の日本VSゴジラという発想を活かせていない。
予告で見たら面白そうに思えたが、あまり発想を活かせていないと思えた。
戦後の日本が抱える事情に対してのゴジラという脅威がうまく描けていない。そう考えると焼け野原の戦後という発想自体が失敗に思えてくる。ある意味、戦後は失うものなんてないところからの出発だったんだから。マイナスにすら出来ない。
●ゴジラの動き、変
あきらかに破壊を目的にしてる動き。飛行機についていくのもご都合。
●爆弾で死亡
爆弾ひとつで死ぬのもな。
●主人公の動機が釈然としない。
ゴジラに対抗する動機が復讐というのがいけない。そもそも特攻を逃げ出し、仲間を見捨てた主人公。そのくせ愛する女を殺されたから復讐してやる…というあまりにパーソナルで小さい。特攻隊に感動するのは命を捨てて国や家族を守るという大義があるからだ。矮小な男がゴジラと対決するとは思えない。
●主人公、生き残る気まんまん?
加えてパラシュートで生き残る計算があったとなると、ますますこの男は何なんだ?愛する女を失って生きる希望を失ってたんじゃないのか?と思えてしまう。
守るために命を捨てるというのがヒロイズムなんだから、ゴジラを殺して自分も助かろうというのはカッコ悪すぎる。
●妻でいいじゃん
たまたま出会った女に生きる希望を…って都合よすぎる。帰国したら妻と娘が生きていて、卑怯者なりに生きるしかない…って方が素直だと思う。男と女が何年もひとつ屋根の下で暮らして、何もないのも清さを通り越して人間性を感じない。
●神木くん、残念
似合ってないとしかいいようがない。演出サイドの問題でもあるけど、何でも叫べば表現できるとするのは工夫がない。他キャストにも言えるが、日本の俳優にリアリティを感じないのはこういう芝居ばかり要求されて、本人たちも器用に答えるからだろうな。
●ヒロインが生きてるのは最悪
ご都合、ここに極まれり。ようは主人公は早とちりで戦ったわけだ。
エンタメとはいえちょっとヒドい。
戦争後を絡めるんだったら、もうちょっと日本人観を考えて欲しかった。
戦争に限らず守るために戦い、失っても希望を捨てずに生きるのが日本人だと思うのだが?
戦後まもなく、第一作よりも前の話だとしても、主人公の生きようとする姿勢が全く感じられず。特攻してゴジラを殺す! 死に場所だけを探している主人公は、芹沢さんや尾形とは全然違って共感出来ません。