劇場公開日 2023年11月3日

「大人の鑑賞に耐えうるゴジラ映画だが・・」ゴジラ-1.0 moviebuffさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5大人の鑑賞に耐えうるゴジラ映画だが・・

2023年11月5日
PCから投稿

まず、基本的には、シンゴジラの後という重圧の中、山崎監督が脚本からVFXまでまとめ上げてベストを尽くしたことを評価したい。(気持ち的には採点は3.5と言うよりも3.8か3.9くらい)。音楽の重厚感も素晴らしかった。

山崎映画を普段あまり見ていないが、昭和の街並みや、戦艦に戦闘機と、今までの監督経験を活かした彼の集大成的な作品だという事はよくわかった。内容に関しても、山崎監督が永遠のゼロの監督であるという事が良い意味で最後の「泣き」展開の驚きをもたらしていると思った。後から振り返ると色んなドラマ場面はそれに向けた前フリだったんだなーと、見終わったあとに気づかされた。(ただ、そこってあくまで主人公の人生の葛藤であって、ゴジラ映画としての本筋(なぜ、ゴジラという存在は生まれたのか、いかにゴジラを倒すか等)とあんまり関係なくて、別の話になっちゃってる気もするんだけど笑)

自分は正直ハリウッド的な個人の物語を通してのストーリーテリングよりも、シンゴジラの昔の戦争映画のような群像劇の方が好みではあるけど、庵野監督が「俺の考えるゴジラ像」を妥協せずに作り上げたように、山崎監督も彼なりのゴジラ像をしっかりと見せてくれたんじゃないかなと思う。これからは各監督が毎回リセットして自分達の思うゴジラ像を作り上げればいいんじゃないかなと思った。

不満点としては、私は一作目のゴジラはフランケンシュタインの怪物のように、恐ろしさと共に、どこか生物として不完全な、生まれてきてしまった事に悲しみがある生物、呪われている生物みたいな部分があると思っていて、そのデザイン自体に反戦のメッセージ性も含まれていると思っているんだけど、山崎ゴジラにはその部分は感じられなかった。シンゴジラは完全生物の部分と、呪われた異形の生物の両面があったと思うが、山崎版はその完全生物の部分だけシンゴジラから引き継いでしまっているように思った。

また、本人はオマージュのつもりなんだろうけど、ジュラシックパーク、ジョーズ、ダンケルクを思い起こさせるシーンは、オマージュと言うよりも、さよならジュピターや竹取物語、REX等、昭和の日本映画で良くあった、流行りのハリウッド大作映画のチープ版みたいなのをやる伝統に重なって、気恥ずかしくなった。今作は全米でも大規模公開されるし、せっかく素晴らしい誇れるレベルのVFXになっているんだから、そういう「やった、ジュラパのT-REXみたいなシーンとれた!」みたいな内輪ノリは止めてほしいなと思った。

もう一点、多くの人が恐らく指摘してるだろうと思うが、銀座襲撃の後、どうやってゴジラが海に大人しく帰ったのか全く描かれていないし、語られていない・・。結構大きなプロットのミスだと思う。対談で庵野監督に「つっこみどころも多い」と言われていたのはおそらくそこらへんのことも含まれているだろう。

moviebuff
moviebuffさんのコメント
2023年11月6日

ふぁるこんさん そうでしたか!それはお恥ずかしい・・そうですね、私の見間違いのせいで作品の評価を下げるような事には私もしたくありませんので、そこの部分は編集して訂正することにします。ご指摘ありがとうございました!

moviebuff
ふぁるこんさんのコメント
2023年11月6日

最後って、子ども抱えたまま病室いきましたよね?
ヒロインに抱きつく瞬間は、降ろしたと思いますが、シーンとしての違和感は無かったと思います。
勘違いでこの映画のイメージ下がるのは、良くないので念の為に。

ふぁるこん