劇場公開日 2023年11月3日

「シンゴジに迫るぐらい好きよ。」ゴジラ-1.0 不敗の魔術師さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5シンゴジに迫るぐらい好きよ。

2023年11月4日
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元々私は最初に観たゴジラが白黒の初代で、山の向こうからのっそり上半身を現す巨大な怪物に、子供心に恐怖を刻まれましたよ。その次がアンギラスのやつだったかな。
私自身は昭和ではなく平成ゴジラリアルタイム世代なんですけどね、家に初代やらのVHSがあってそれを観たんです。聞いた事ないけど、親の趣味だったのかな。
だからか分かりませんが、「僕らの味方」時代のゴジラは大分好みから外れてて、その現代解釈版と言えるような「調停者」?だか何だかのレジェゴジもあんまりなんですよねぇ。橋壊せよ。潜ってんじゃねえよお前怪獣だろ。みたいな。
ゴジラはやっぱ巨大で理不尽な災害であって欲しいんですよ。一種のパニック映画としての面白さ怖さが欲しい。日常にたった一つ巨大な嘘としての「ゴジラ」だけを放り込んだ感じというか。
そこ行くと、ゴジラ災害シミュレーションたるシンゴジはまさに私みたいな人間が夢に見つつあり得る筈もなかった奇跡のような作品で、あれ以上のものはもう出ようがないと思ってました。

ただ、今回は「そう来るか!」というアプローチでその高いハードルに挑んできましたね。
とにかく白組のCG凄いとは聞いてたけど本当に凄いな!部分部分気の抜けたようなカットもあったけど、かなりの部分ハリウッドに引けを取らない画にちゃんとなってるよ!!予算規模は比べるべくもないだろうに、素直に凄いと思う。
それに加えて、ちゃんと?監督がゴジラを「怖い存在」として描こうとしてくれたお陰で、デザインといい、行動といい、「恐怖の対象」としての絶望感が半端無かったです。これが最大の美点かな。
臆病者と変わり者、可愛い子供の歪な同居生活も、戦後の混乱期という特殊な舞台設定のお陰もあり、怪獣映画のドラマ部分としては全然観れるデキだったので、やっぱり予算の問題か?怪獣そっちのけの時間がどうしても長くならざるを得ず、ダレはするんだけど、そこまで退屈したりウンザリしたりせずに済みました。

ただまぁ、全編に渡っての圧倒的スピード感、緊張感、編集の小気味良さカッコ良さを持ったシンゴジはこれからも何度も見返すと思いますけど、今回のゴジラは、見返すとしてもゴジラが出てるシーンだけだろうなとも思うので、個人的に思うシンゴジのハードルを超える事は無かったかなと。ただ、堂々と挑んでかなりイイ線行ってくれた作品であるとは思います。面白かったよ!山ちゃん!

不敗の魔術師