「登場人物の誰にも共感も同情もできない」レッドシューズ tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
登場人物の誰にも共感も同情もできない
子供を養育することができないのに、それでも一緒にいようとするのは、いくら子供が可愛いとは言っても、親として無責任なのではないか?
孫に何不自由のない環境を与えてやりたいという思いは理解できるものの、一緒にいたいと願う孫を母親から引き離し、会わせようともしないのは、祖母として、あまりにも無慈悲なのではないか?
主人公が、パワハラ店長のためにバイト先をクビになったり、介護施設のセクハラ老人のために警察に連行されたりするという展開もわざとらしく、そうまでして主人公をどん底に突き落としたいのかと呆れてしまう。そもそも、友人の弁護士は、いったい何をしているのだろうか?
右手が骨折していながら、その傷も癒えないうちに世界タイトル戦に挑もうとする主人公の無鉄砲さも相当なものだが、そのことに気付きながらも、「一緒に勝つ方法を考えよう」と、主人公を煽るトレーナーもいかがなものか?本来であれば、選手生命を考えて、試合を取り止めるか、少なくとも延期するのが、トレーナーとしての使命なのではないか?それとも、単に世界チャンピオンをなめているだけなのか?
と、登場人物の誰にも共感を覚えることも、同情を感じることもできず、現実味も説得力もない話に置いてきぼりを食う。
肝心のボクシングのシーンも、迫力のある「絵作り」には成功しているものの、相当打ち合っているはずなのに、やたらとキレイな顔面には興醒めしてしまう。
タイトルの赤いシューズが、物語に全然活かされていないのも、まったくもって物足りない。
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