「あなたの為なら何でも殺ります。お友達AI人形、ミーガンです…」M3GAN ミーガン 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
あなたの為なら何でも殺ります。お友達AI人形、ミーガンです…
ジェイソン・ブラムとジェームズ・ワンが再タッグ。と言っても『インシディアス』の時のようにプロデューサー&監督ではなく、Wプロデューサーとして。
例え定番ネタであっても斬新であり、衝撃的でもあり、エンタメ性抜群。
良質ホラーを世に放ってきた2人が贈るのは、またまた例外に漏れず。
チャッキーやアナベルなどホラーと切っても切り離せない“人形”。
そこに現代的な“AI”をプラス。
定番の人形ホラーをアップデート、ニューバージョン!
新たなホラー・アイコンになりそうな恐怖のお友達AI人形がここに製造完了。
その名は…
おもちゃメーカーの開発者であるジェマはユニークなAI搭載人形を作っていたが、画期的な次のプロジェクトに行き詰まっていた。
そんな時、姉夫婦が事故死。姪のケイディを引き取る事に。
微妙な距離感の2人。が、おもちゃがきっかけで少し距離が縮まる。
ケイディの言葉をヒントに開発が進み、遂に試作が完成したのが…、
“M3GAN(Model 3 Generative Android)”。通称“ミーガン”!
見た目は人間の女の子そっくり。
ペアリングプログラムであなただけの友達に。
学習能力、人工知能指数も非常に高い。
子供にとっては世話役で保護者代わりで、何より友達。
大人にとっては育児の手助けに。
一家に一台…いや、一人。家族の一員も同然。超万能AI人形=ミーガンをあなたの元に!
まずはその見た目。リアル過ぎてちょっと怖いくらい。チャッキーやアナベルといい勝負…?
しかし子供と接する時はしっかり相手の目を見、心に寄り添う。支え、褒め、時には注意し、いつも一緒にいてくれる。世界中に流通したらドラえもんの仕事が無くなるよ…。
ミーガンのお陰で心を閉ざしていたケイディも笑顔を見せるようになる。
ジェマにとってもケイディとの関係や仕事面も両方解決…の筈だった。
ケイディを守るようプログラムされているミーガン。これが惨劇の始まりだった…。
隣家の飼い犬とのトラブル。ちょくちょく敷地に入り、フンまで。遂にはケイディに噛み付く。突然その犬が居なくなり…。
学校体験入学。郊外ワーク中、不良男子がケイディに嫌がらせをしてくる。その男子が突然車に轢かれ…。
いずれの時もケイディの身に何かが。そして必ず傍らに、ミーガンが…。
アイザック・アシモフの“ロボット三原則”。
ロボットは人間に危害を加えてはならない、ロボットは人間に従わなければならない、それに反しない限りロボットは自身を守らなければならない。
ミーガンがプログラムされた“ケイディを守る”もこれらの意味合いの一つに入るだろう。
が、AIの学習能力でそれが過剰に。
ケイディの危害になるものは排除。それは近付けさせないとか遠ざけるとかではなく、文字通りの意味で。
とうとう人を殺める。ロボット三原則に反する…!
が、ミーガンの最大のプログラムは“ケイディを守る”。
究極の人間への献身だが、これが度が過ぎた。
ケイディへ危害だけじゃなく、悲しませたりする者や自身をダウンさせようとする者も例外じゃない。開発者のジェマだって…!
ライブ配信発表会当日、ケイディを愛するミーガンの暴走開始…!
もはや『ターミネーター』…!?
人形が人間を襲う。ホラーの定番。
AIの暴走。いつの時代も。
使い回されたネタなのに、いよいよのこのAI時代、また新味を持って。
その危険性もさることながら、扱う人間側へも教訓や痛烈メッセージ。
ケイディの世話をミーガンに任せっきり。じゃあ、保護者となったジェマはいつケイディと向き合う…?
ミーガンに依存するケイディ。取り上げられた時には猛反抗。キュートな娘だけど、結構利かん坊…?
子供の為や関係円滑のツールとして作った筈が、さらにそれを悪化させ、惨劇にまで…。
なら、AIやロボットの必要の意味は…?
今一度、開発し扱う我々人間が再考しなければならない問題。
そんなテーマを滲ませつつ、勿論本作はエンタメ。
オンモードかオフモードか分からない時のミーガンの表情や人を襲う際の不気味さ、恐ろしさ。
でも、そんなに怖くはない。ホラー苦手でも充分見れる範囲。怖いと言うより、面白い。
ブラックな笑いも散りばめられ、最たるはミーガンが見せる奇抜なダンス。ミーガンを“演じた”エイミー・ドナルドはニュージーランドの子役でプロダンサーでもあるとか。
こんなに凄いAI人形やロボットを作りながら、初歩的なミス目立つ登場人物たちが何だか結構お間抜け。
ミーガンが起こした惨劇だが、元々の責任は開発者のジェマにあり。映画は一応事件解決で終わるが、死者まで出した彼女のその後の処遇の方が恐ろしい…?
開発者としては一流のジェマ。劇中様々な開発品が出てくるが、ハイスペックはミーガンだろうが、ナイス!は“ブルース”でしょう!
世界中でスマッシュヒット。
この怖くてキュートなAI人形の“新型”に期待しない理由なんてない。
次は『M3GAN ver.2』かな? 『M3GANs』かな?
見てて思ったけど、ロボットにしてもAI人形にしても、一番万能で最高の“友達”は、我が日本の未来のネコ型ロボット以外にないね。