「「"kombucha"を持ってこい!」」M3GAN ミーガン いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
「"kombucha"を持ってこい!」
欧米では【紅茶キノコ】のことをコンブチャというらしい だからあの中華系CEOが欲しがったのは日本の昆布茶ではないと思うのだが・・・
あのCEOもそうだが、今作に於ける全ての登場人物達は、いわゆる"富裕層"の連中ばかりである なので、ハッキリ言って親近感や同情、心情に寄り沿う気持は皆無である あの不幸な女子でさえも、叔母が引き取らなければ祖父母(叔母からすれば親)がきちんとセーフティネットになっているらしい なので、彼女を引き取った理由は部屋内に飾っている"おもちゃ"の一つにしか過ぎないという印象を持つ いや、多分そういう解釈ではないのだろうけど、如何せんきちんとその辺りを丁寧に描いていないのである だから作品に深淵が見えてこず、結局のところ、スケアジャンプを使った単なる"チャッピー"二番煎じの展開を想像してしまうのだ 『チャイルドプレイ』は未観なので、ストーリーは解らないのだが、所謂人形がその"不気味の谷"を利用して、違和感がもたらす不思議さを纏いつつ、理不尽な殺戮を繰広げるというスラッシャーホラー仕立ての組立であろう そして今作に於いては加えて"養育"という要素をテーマにねじ込み、躾けや教育をテクノロジーが代行できるという一つの提案を俎上に挙げつつ、そのデメリットをオチにして、ストーリーの落とし処を取り敢ず結論付けたという仕様なのだ というのも実は続編がもう決定しているらしい 制作側はあくまでもエンターティンメントとしてホラーを作っているのだろうが、AIがもたらす未来の警告というものを簡単に商品化している点に些か不満が残る もっと物語に重厚さをもたらすであろう幾つかのフリ(ラストの家庭用音声アシスタント機能の起動や、CEOの秘書的男のシステム不正コピー)で、続編がどこまで哲学的懸念を描くのか、それともあくまで、シュールを帯びたスラッシャームービーに徹するのか、今作の迷走に結論を付けることは避けようと思った次第である まぁ、単純に"恐い"というプロットは映画にとって一つの目的ではあるのだけど・・・
コメントありがとうございます。
確かに、テクノロジー過信への警告や養育というテーマに関してはちょっと大味とも言えますね。ミーガンのキャラで話を持たせる感じというか。
アンレイテッド版については、もしご興味があればですが、Twitterで「M3GAN UNRATED」で検索すると、日本公開のPG12版とアンレイテッド版との比較動画や画像のツイートが出てきます。
一つ、試みとして面白かったのは、ミュージカル仕立ての台詞がミーガンから発すること
この表現は或る意味、子供の情操教育上活かされる可能性を感じたのだが、でも、プレゼンで大人が泣いてるところを見ると、結局あれもコマーシャリズムとして消費してるだけなのだろうか・・・ なかなかニクい脚色である