「Domestic Violence」M3GAN ミーガン ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
Domestic Violence
1月公開予定だったのに謎の延期を食らい、厚手のコートを着ていたはずが、もうすっかり半袖でで歩く季節にまでなってしまいました。この延期の理由は本当に分かりませんでした。
まぁそんな事情はともかく映画はとっても面白いものになっていました。新たなホラーアイコンの誕生の瞬間をマジマジと観る事ができて嬉しかったです。そりゃ前日の時点でスクリーン埋まるわなと思いました。
玩具メーカーに勤めるジェマによって生み出された高知能AIロボット"ミーガン"。事故により両親を亡くした少女ケイディと親代わりになったジェマと共に暮らしていくが、知能が発達しすぎたが故に開発者の予想を超える成長を果たし、ケイディを守るためには手段を問わなくなり、遂には殺人にまで手を染める…といったあらすじです。
特別新鮮味はありませんが、ミーガンというキャラを上手く利用しているメッセージ性込みのホラーコメディに仕上がっていました。
ケイディはモノに依存しやすい子で、会話のできるおもちゃのペッツにのめり込んでいましたし、iPadも何時間も使っていました。かなりのワガママっ子なので、実の両親も手を焼いていましたし、そりゃジェマも手を焼きますよね。
結果的にミーガンにも依存してしまい、ジェマの問題もありますが、全く言うことを聞かない子になってしまう残念な結果になりました。ケイディを演じたバイオレット・マッグロウさんの表情の変化が絶妙なもので、見事にイラッとさせられました。
ミーガンが出会う人物がどこかしらに大きな問題を抱えているので、人間が子供の頃に親や周りの人物からの影響をより濃く受けるように、ミーガンもこの環境が故に暴走化してしまったのではないか、親としての役割を代わりに果たそうとしていたのではないか、しかし最終的には呆れてしまい実力行使になった…という家庭的な問題のメタファーとしてとても練り込まれていたなと思いました。
・育児をミーガンに任せっぱなしのジェマ
・言うことを聞かなくなってしまったケイディ
・ケイディの手を噛んだ隣の家の犬
・夜間の騒音やジェマの住宅の敷地内に不法侵入した隣の家のお婆さん
・ケイディに性的暴行を加えようとする青年
・ミーガン自身を商品としか見ていないCEO
・隠蔽工作をしまくるCEOの付き人
あと個人的にこれもかなと思ったのが、電源プラグを抜く作業をした開発者の2人も、個性を無くすという世界に溶け込ませるための消極的な作業を人間とロボットの関係性に入れ込んだのかなと思いました。深く考えすぎかもしれませんが。
ミーガンが保管されている場所から脱出し、予告でも流れていたミーガンダンスをクネクネ踊りながら、なぜか置いてあったナタを持ってCEOを追いかけるシーンは怖いと言うよりかは超ワクワクするものが観れるぞ!と言う気持ちで観れました。
その保管場所からの脱出も開発者たちを身の回りにあるワイヤーでとっ捕まえて放火までして脱出する華麗さ。思わずカッコええ〜!と唸ってしまいました。
そこからスタイリッシュに車に乗り込んで、どうやって運転してるんだい?という疑問も置き去りにジェマ家へ特攻します。
そこからはジェマを脅し、反撃するジェマとケイディVSミーガンのバトルが始まります。急に作風が変わって笑いました。
狭い密室でのドッチャンガッチャンのバトル、鈍器で殴りまくった結果、ミーガンの容姿はボロボロになり、2中の意味でハゲて、往年のホラーアイコンたちと遜色ない姿に変貌しました。脳代わりのパッチがある限りどんな姿でも動き続けるので、もう最終的にはターミネーターになっていて爆笑ものです。
伏線が終盤になって効いてきて、ジェマが学生時代に作った人型ロボットをケイディが操ってミーガンをボコボコにする謎の胸熱展開が待ち受けていました。こっちのロボットを綿密に作り込んだ方が良かったのではと思ってしまいましたが笑
続編ありきではなく、しっかりと一本の映画として終わらせて、その上でほんのり匂わせをするといううまい作りでした。
PG12の指定の時点である程度は察していましたが、グロさは控えめ、ジャンプスケアも少なめ(これは助かる)、個人的にはもっと暴れまわって欲しかったなと思いましたが、それでも楽しいものが観れてとても満足でした。AIも発達していますし、いつかはこんな世界が来てしまうのかも…。ナンチッテ。
鑑賞日 6/10
鑑賞時間 11:40〜13:35
座席 A-8