「事実に基づくフィクション」[窓]MADO あやかさんの映画レビュー(感想・評価)
事実に基づくフィクション
長野市相生座にて、西村まさ彦さんの朗読劇と、舞台挨拶のある回を観映。
横浜・副流煙裁判の被告の子息である、麻王氏による脚本、監督作品。
私は、この裁判の事を何も知らずに、この映画を観ました。
原告となる父の姿を、西村まさ彦さんが怪演。
監督は家族が訴えられていたにもがかわらず、被告目線ではなく、原告の目線から描いていた。
家に帰り、横浜副流煙裁判についても、調べてみた。個人的には、被告目線も、もう少し描いて欲しい気がした。
私は、この映画を観ながら、コロナが流行り始めた頃の、異常な犯人探し的な社会風潮や、昨今の紅麹騒動の一連報道に感じたモヤッと感と似ているなあと思った。
誰かを悪者にしていく事で、生きる糧としている愚かさ。
自分は子供の頃からアレルギー体質でなのですが
「アレルギーって精神的なものでしょ」
と事ある毎に言われてきたので(今はだいぶアレルギーに対しての知識が世の中に浸透してきたが)、化学物質過敏症当事者の辛い気持ちも分かる。
でも、あらぬ疑いをかけられ、ある日突然裁判の被告になり、団地という狭コミュニティの中で、村八分になって行く原告の辛さも、田舎の狭いコミュニティの中での生きずらさを感じて生きている身としては、こちらのご家族の気持ちも分かり、こちらもしんどい。
映画の前に、西村まさ彦さんによる映画導入部の朗読劇があった事も、色々考えるきっかけになった。
多様性社会とは言うけれど、視野の狭い人達が増え、自分の考えと違う人は排除する風潮がある。
世の中で起きる事は、多角度から観るべきだと改めて思った映画だった。
たくさんの人に見てほしいと思う。
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