劇場公開日 2023年3月24日

  • 予告編を見る

「アクションもストーリーも、一段深化した感のある一作」ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5アクションもストーリーも、一段深化した感のある一作

2023年6月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

雑多な日用品に囲まれた一室でぼそぼそと気の抜けた会話を交わすちさと(高石あかり)とまひろ(伊澤彩織)の姿に、ああまたこの世界が戻ってきた、という感覚が蘇ってきます。

設定は概ね前作を引き継いでいますが、「前の作品を踏み台にしたくない」という阪元裕吾監督の作品観もあって、初見でも全く問題ないどころか、この迫力あるアクションを新鮮な気持ちで体験できる人が羨ましくなるような、超絶技法と(ブラック)ユーモアに満ちた作品となっています。

主人公二人のアクションの切れ味、迫力は事前の予想を軽々と上回るもので、単なる肉弾戦だけでなく、銀行内の備品を使ったり、ぬいぐるみ着用での戦闘など数え上げればきりがないほどの見所が満載です。

物語は前作以上に、ちさととまひろが関わっている組織の存在感が大きく取り上げられているんだけど、実動部隊の悲哀にとどまらず、組織への抵抗に対する容赦ない制裁という残酷な面も描いています。本作のもう一方の主人公とも言えるゆうり(丞威)とまこと(濱田龍臣)の殺し屋兄弟の顛末は、この組織的暴力の冷酷さを浮き彫りにしているんだけど、二人のある種奇妙な爽やかさのために、物語にそれほどの悲壮感は漂いません。達成感とドライさが同居した結末も含め、見事な物語でした。

伊澤彩織が本シリーズで多くの注目を集め、ついに『ジョン・ウィック:コンセクエンス』のスタントダブルを務めるに至った、ということは、すごいとしか言いようがないです!

yui