「参ッチング」マッチング 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
参ッチング
内田英治はどうやら作品にムラがある監督のようだ。
『ミッドナイト・スワン』は良かった。『異動辞令は音楽隊!』も及第点。
『サイレントラブ』はいまいち。そして本作もこっち側かな…。
今や男女の出会いの場の一つとなったマッチングアプリ。
一昔前だったら出会いがマッチングアプリと言ったら白い目で見られたかもしれないが、今やごく普通。寧ろ、ナンパなんて死語…?
利用者や登録者が増える一方、落とし穴も…。
成り済まし。直に相手と会わないから生じる危険…。個人情報の漏洩なども。
マッチングアプリを題材にし、SNS社会を反映させたサスペンスかと思いきや…。
ドロドロ愛憎劇やら過去の因果やら復讐やら…。事件の発端はマッチングアプリだったけど、話の展開にあまり必然性無かったような…。ただのストーカー・サスペンスでも良くね…?
このヘンなズレ、『変な家』とも似ている。
ウェディングプランナーの輪花。仕事は順調だが、恋愛は苦手。出会いはナシ。父親と二人暮らしで、週末の酒飲みの相手も父。
心配した同僚の勧めでマッチングアプリに登録。爽やかそうな青年・吐夢とやり取り始まるが、直に会った彼は暗く不気味な男だった。その後も輪花に付きまとう…。
その頃巷では、マッチングアプリで出会って結婚したカップルが惨殺される事件が続発。中には輪花が担当したカップルも。
輪花はアプリのプログラマー・影山に相談するが…。
見たらすぐ分かるぅ。
メッチャ怪しい吐夢。でも、こういう奴はミスリード。
他に真犯人がいる…。ネタバレしちゃうが、って言うかこれも見たらすぐ分かるぅので言ってしまおう。
影山。だってちょっと怪しげというか、本当に見たらすぐ分かるんだもん。
動機は…? 親の代と絡んだドロドロ愛憎劇に突入!
輪花の母親は輪花が幼い頃に蒸発。原因は父親の不倫。相手はパソコンチャットで知り合った女。
不倫相手は輪花の母親と堂々会ったり、父親が別れを告げる際、発狂して刺すなどヤベー女。
まだ幼かった輪花は露知らず…。初めて知り、父親を嫌悪。
その直後、父親が殺され…。
殺したのは影山。何という因果か。不倫相手の息子。
母親の復讐の為に、輪花に近い人を殺した息子もヤベー奴。
窮地を救ったのは、まさかのストーカー・吐夢。
にしてもストーカーに付きまとわれ、殺人犯に命を狙われ、父親や同僚友人を殺されたりと、不幸と悲劇の連続。
吐夢に連れられ、会った二人の中年女性。一方は車椅子、一方は介護人…?
全ての元凶。父親の不倫相手。車椅子の女の方じゃなく、介護人の方が。
車椅子の女は蒸発した輪花の母親。
何があったかと思うと…。本当にゾッとするほどヤベー女。
女の刃が輪花に向けられるが、吐夢が庇う。
女は逮捕。吐夢は命に別状ナシ。
輪花と吐夢は良好な関係を。これからも進展見込めそうな…。
吐夢は輪花にとって“クリオネ”だった…?
天使のようなクリオネ。その見た目とは裏腹に、残虐な一面もある…。
吐夢は女と面会。衝撃の事実を告げる。
女には息子がいた。それが影山。
その時、女は妊娠していた。そのもう一人の息子こそ、吐夢。影山とは異父兄弟。
妊娠の相手は輪花の父親。つまり、輪花と吐夢は異母姉弟…!
影山が殺したのは輪花が担当したカップル一組と輪花の友人。輪花の父親を殺したの影山ではなく不倫相手の女であった。
では、連続殺人の真犯人は…?
ラストシーン。吐夢がカメラ目線でほくそ笑む。
異母姉弟で、連続殺人鬼であった…。
殺人犯はつまり3人。にしても本当にヤベー母子。
衝撃の事実、衝撃の繋がり、どんでん返しの連続を狙ったのだろうが、負の連鎖やら過去の因果やらまさかの血の繋がりやら、あまりにも狙い過ぎて衝撃どころか、何と言うかチープにすら感じる。
土屋太鳳の熱演。佐久間大介の怪演。金子ノブアキの怪演。斉藤由貴の怪演。
しかしそれらも、お粗末な演出や脚本のせいで…。
内田英治もここらで快打を放たないと…。
嫌でも思われてしまう。一発屋だったのか、参ッチング!