「完成度が著しく低く、辛い部分がある。」マッチング しゅうめいさんの映画レビュー(感想・評価)
完成度が著しく低く、辛い部分がある。
一点、映画を見進める上で気がかりになってしまった点があったので書いておく。ネタバレとも言えるかもしれないが、多くの人の目に触れてほしいので公開で書く。影山(不倫女性の長兄)が旧家の机の上の包丁を取り出して唯島(不倫女性の相手の娘)を襲うシーンがある。脚本を書いた人々は全く気にならなかったのだろうか。
殺人未遂の犯人の家に(本人のものとはいえ)血まみれの包丁があれば、警察は必ず押収するのではないか?ということだ。
殺人未遂はナスを切っていた包丁で行うので別のものであろうが、その前で描かれたシーンで用いられていた包丁が検分が行われたであろう現場に残っているということは考えにくい。また、包丁がステンレスであったと仮定しても、血で塗れた包丁でも25年間放置された場合ならとっくに刃物としての役を成していない可能性が高く、劇中内のように綺麗に保たれるだろうか。
唯一考えられるとすれば先に自分で持ち込んでいたことと考えられるが、そうとなれば恩師夫妻の時に用いたカッターと整合性が取れない。唯島の写真に加工を施して上で天井に貼った時にカッターを所持していなかったことはないと思う。
このシーン一つで矛盾が生じてしまっている。これほどの造り込み不足ではないものの、物語をきちんと成立させ得ない要素が多いように思う。
個人的には永山(通称トム)が黒であると思っていたので、逆に途中焦ってしまった。最後まで明かされなかった謎や伏線もあり、ヒントも与えられず終わってしまうのは「映画鑑賞後に観客をざわつかせる」手法としては誤っているように思え、第1作がうまく興行成績をあげられなければ作れないであろう第2作を監督がいうように制作されるのであれば、回収に期待したいと最後に述べておく。