「年老いることの素晴らしさ」離ればなれになっても 猿田猿太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
年老いることの素晴らしさ
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最初、カメラ目線で観客に語る、普通の映画には滅多に無いシーンから。そういうの、知っている範囲では伊丹十三氏の「たんぽぽ」、宇宙戦艦ヤマト完結編とか、「ファニーゲーム」なんて非道い映画でもあったな。いや、これは悪くない使い方だと感じました。今から老いていくまで語るから聞いてくれって言う訳なのか。
若い4人組の人間くさい、泥臭いといってもいい人生、良いことも悪いこともある上手くいかない人生が描かれ、正直、なんだかやるせない気分で見てましたが、後半に入り、年老いた彼らの素晴らしい笑顔が本当に輝いて見えてきました。色んな事があったけど、それを通り越して笑顔で再会を抱き合う、様々な時代を超えて歳を経ることは素晴らしいことなのだと、物語る映画だったのかと感じます。
あのオペラ座で、現実には無かった螺旋階段の幻想的なシーンは、椅子に体が沈み込むかと思うほど素晴らしかった。息子とも和解し、互いの子供たちも集まって新年を祝うシーン、大晦日に見た甲斐がありました。スタッフロールが始まるかと思ったら、もうワンシーンあって気が抜けない。人生はやがて、子供たちに受け継がれて続いていく、カタルシスも高い素晴らしい映画だったと思います。
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