「原作通りで「気持ち悪い」」零落 Naofumiさんの映画レビュー(感想・評価)
原作通りで「気持ち悪い」
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原作も読んでいたが、改めて映像化されると主人公は本当に清々しいまでのクズだと思わされる。私を含めて多くの人間には感情移入は不可能だろう。主人公が大学時代付き合っていた女性の評である「化け物」という言葉が正鵠を射ている。漫画の才能があって、漫画がすべてに優先される価値だと思っている「化け物」は、ひたすらに他者を蔑ろにし続けてなお、その自覚は無い。
私小説の露悪主義の伝統に沿った作品だが、西村賢太のようなユーモアやペーソスはない。旧劇場版エヴァでシンジくんにアスカは「気持ち悪い」と呟くが、主人公の葛藤は「気持ち悪い」ものだと私は思う。たぶん原作も映画もその「気持ち悪さ」を伝えるべく作られているので、その意味では「成功」しているが、そういう作品を鑑賞したいかどうかはまた別の話である。
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