「竹中直人監督って名前に釣られて観てみたが、」零落 菜野 灯さんの映画レビュー(感想・評価)
竹中直人監督って名前に釣られて観てみたが、
8年間の漫画連載後、売れなくなった漫画家が、立ち直っていく様子を描く。とにかく、斎藤工演じる主人公の漫画家・深澤薫が女と縁があり過ぎるくらいある。まず結婚していて妻がおり、妻は出版編集者でいわば同じエリアの仕事で、作家との付き合いが仕事。
次に、過去のフラッシュバックされる元彼女、次に、アシスタントで漫画家を目指す若い女性。さらには、売れなくなって元気をなくして風俗の女性に癒しを求めて知り合った若い女性。
ざっと4人の女性がぐるぐる回っている感じ。妻とアシスタントとはうまくいっていない。妻とは結局、離婚し、アシスタントは漫画家になってライバルみたくケンカ別れ。風俗で知った女性は、仲良くなって主人公の客と、地元の田舎に一緒に行くまでになるが、しょせんは、客と商売女から始まっているからか、短く終わる。後輩の女性は別れ際に、あなたは化け物という言葉で、何か、深澤薫をひと言でもったいぶったように表現した。
竹中直人監督、斎藤工主演なので何かこう斬新な感じの映画を勝手に想像していたが、切って貼ったような編集のなんだかまとまりのない映画だった。落ちぶれ感を出すため、これでもかっていう演出が過剰。というより最初から落ちぶれた感じだったので、落差があまり感じられないし、最初から元気のない主人公だなという印象。
後半から、深沢薫が怒ったり、仕事のやる気を取り戻したりと元気になっていくが、仕事の浮き沈みは、一般的にもよくあること。しいていえばクリエーターの仕事は消沈が目にみえて激しいので、その厳しさを感じるにはいい映画かもしれないが、ひたすら自分のことしか考えていない主人公の浮沈に、カタルシス感がないまま。
落ちぶれてます、希望をというよりは、漫画家という芸術家礼賛なのかな、クリエーターは成果物のために自分のことしか考えない業から抜け出せないといいたいのか。なんだか変化もなく、冗長感あり、時間が長く感じて、やっとエンドロール。竹中直人監督らしさって何だろう、最後までわからないままだった。
そうでしたか、大変失礼しました
物語そのものではなく、表現方法に難が有ったということですね?!
今作品は制作陣に俳優がかなり関わっている印象を受けました それと出役にクリエーターのゲストもチラホラ
私はクリエーターとは真逆の、消費のみに特化してる分類種なので"産みの苦しみ" "芸術と商業"等々その本質は理解不可能です そしてそのクリエーターの周辺にいる人達に対する影響力も想像の域を出ません だからこそ今作品の丁寧な印象表現に助かっております(例えば、"化物"の台詞は最初はボイスカットでしたが、プレイバックできちんと台詞が入ります オープンクローズ作品ならば観客に委ねる手法もあるのに選択しなかった)
決してアバンギャルドな作品が嫌いと言うことではなく、制作陣の意図を探るには、数多ある表現方法、個性を知りたいと私は思います
まぁ、私の考えなど烏滸がましいのですが(苦笑
好みや親和性、主義等々、その強固さが増す事・・・そして反比例するように内に留める力の脆弱さ 消費するだけの人間である自分も又それは共通しているのだろうと、自戒です
長々と駄文を吐露してお目を汚してしまい失礼しました
いばねまさま、コメントありがとうございます。
こんなくだらない原作を映画化するなって、ことではなないです。そうなると、くだらない原作を選んだ時点でくだらない映画ってことになってしまいます。
映画は映像、演技、編集で魅せるもの、感動を揺さぶるものです。どんなくだらなさそうな原作でも、それを映画化すると、おもしろいもの、なぜかじんと来るものができたりします。なので、実写化版の責任は映画監督、制作プロデューサーにあります。
例えば平凡な会社員の生活、ただ朝飯くって、会社にいて、上司とケンカして家に帰って、カミさんとケンカして、次の朝、また会社に行く。こんな平々凡々たるプロットでも映像にすればでもおもしろいものもできます。
失礼します
僭越ながら、端的に申しますと、「こんなくだらない原作を映画化するな!」って事でしょうか?
漫画原作の実写化版って、その評価の報いは誰が引き受けるんでしょうかねぇ・・・
ちなみに、今作は原作に忠実だと思います
もし原作をお読みになっていないのならば(私も未読です)、ストーリー自体の評価は、映画制作陣に背負わすのは酷かと存じます
差し出がましいコメント、失礼しました