ー 冒頭、エディ(ロビン・ライト)は暗い表情でカウンセリングを受けている。傍には妹のエマが心配そうにしている。エディは”人と、分かり合える事の意味が見いだせない”と言い、エマが”死なないで‥。”と言う中、一人ロッキー山脈の中のボロイ山小屋に移り住む。-
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・序盤から、エディの視野には男性と小さな男の子が屡、現れる。それは、彼女が川で釣りをしている時であったり、彼女が山小屋にいるときであったり・・。
そして、男性と、小さな男の子は彼女の夫と子供であろうと思うシーンが描かれる。
彼女は、金属の箱を取り出そうとするが、躊躇い、止める。
・冬のロッキー山脈は厳しく、サバイバルスキルのないエディは凍死仕掛ける。だが、偶々近くを通りかかった猟師のミゲルと、看護師のアラウワに助けられる。
ー 私は、数年前まで登山をしていたので(含む、冬山。)ハラハラしながら鑑賞してしまった。-
・その後、ミゲルは頻繁にエディの下を訪れ、彼女に罠猟や鹿の仕留め方を教えて行く。
ー ミゲルがエディを献身的に支えた理由は再後半に語られる、自らと同じ、深い喪失感を抱えた人だと思ったからであろう。
人間の善性を感じるシーンである。-
■劇中、ミゲルが屡、ティアーズ・フォー・フィアーズの、”エヴリバディ・ウォントウ・ルール・ザ・ワールド”を口ずさむが、この歌は戦争や他人を傷つける人間に対しての怒りをポップなメロディの中に潜ませた歌である。
この歌の意味が、最後半、エディが語った事と、リンクしてくる。
・サバイバル生活に慣れたエディに、ミゲルは愛犬を預け、”暫く来れなくなる”と言って去る。
エディは封印していた、自分の大切な人の写真を初めて床に広げ、壁に貼って行く。
・中々、帰って来ないミゲルの身を案じ、あれ程人と接する事を嫌っていた、エディは麓の町に下り、病院へ行き、看護師と2年振りに再会する。
そして、彼女はエディをミゲルの家に連れて行く。
そこには、喉の癌に侵されたミゲルが横たわっていた。
ミゲルは弱弱しく笑いながら”君は、希望をくれた”と言い、自らの酒酔い運転で妻と娘を亡くした事を語る。
そして、エディも初めて、夫と子をコンサート会場で撃たれた事を口にする・・。
<今作品は、深い喪失感を抱えた女性と男性が、偶々出会い、ロッキー山脈の大自然の中、徐々に再生して行く姿を描いた作品である。
命の尊さを、観る側に静に語り掛ける作品でもある。>