「この番組はDAZNの提供でお送りします。 色々思うところもあったけど、最後の短編アニメで全て吹っ飛んだわっ!∑(゚Д゚)」クリード 過去の逆襲 たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
この番組はDAZNの提供でお送りします。 色々思うところもあったけど、最後の短編アニメで全て吹っ飛んだわっ!∑(゚Д゚)
『ロッキー』シリーズから派生したボクシング映画『クリード』シリーズの第3作。
現役を引退したアドニスの前に、刑務所帰りの旧友デイムが現れる。彼らの間に横たわる因縁が、2人をリングの上へと誘う…。
○キャスト
アドニス・クリード…マイケル・B・ジョーダン(兼監督/製作)。
ビアンカ・クリード…テッサ・トンプソン。
製作にはシルベスター・スタローンも名を連ねている。
ここ数年、『ロッキー』シリーズのプロデューサーであるアーウィン・ウィンクラーとの関係が悪化しているスタローン。
自らが生み出した『ロッキー』シリーズの所有権を主張しているスライですが、それが受け入れられるどころか逆にシリーズから追放されてしまいました…😢
ロッキーのいない『ロッキー』シリーズなんてうなぎが載っていないうな重。そんなもんに価値はあるのか?と思ってしまうが、とりあえず鑑賞してみることに。
本作はシリーズの主演、マイケル・B・ジョーダンの初監督作品。主演が監督もこなすという『ロッキー』シリーズからの伝統を受け継いでいるというのは結構熱い。…スタローンが居ればの話だけどね。
そんなMBJの初陣ですが、まぁそつなくこなしたわね、という印象。
丁寧なストーリーテリングで目立った瑕疵は見当たらないが、バーニング・ハートなポイントも特にない。
優等生な映画ではあるものの、男と男の熱い闘い、ドキドキさせるロマンス、心を震わせる人間ドラマ、そういった『ロッキー』スピリッツが今一つ伝わらなかった。
本作のライバル・デイムは「もしもロッキーがクソ野郎だったら…」というwhat ifなキャラクター。
彼を演じるジョナサン・メジャースといえば、今後の「MCU」シリーズで大ボス・カーンを演じることが決定している次代のスター俳優であるが、どうやらプライベートでは色々とゴタついているらしい。
マネジメント会社から契約を解除された…っておいおい大丈夫か?
今後のキャリアが不安なメジャースだが、今回の演技は文句なしで素晴らしかった✨キレたら何をしでかすかわからない凶暴性を、表情と佇まいで見事に表現!あの何を考えているのかわからない顔面が怖すぎる…´д` ;
何より、ヘビー級ボクサーを演じる上での身体の作り込みがハンパではない!どうやったらあそこまで分厚くなれるんだってくらい筋肉モリモリ。『ロッキー3』の時のミスター・Tにも匹敵するスーパーマッチョ💪
MBJの身体も素晴らしいのだが、メジャースと並ぶと「そんなに細くて大丈夫か…?」と心配な気持ちになってしまう。スピードタイプvsパワータイプの戦いってことなんだろうけど、どうしてもメジャースの方が強そう。作劇的にはそれでいいのか、という気もしますが、メジャースの身体の作り込みには敬意を表したい。
アドニスが過去の過ちと向き合いそれを克服するという、これまで以上にシリアスでダークな物語。そのため、クライマックスまでは結構しんどい思いをしながら鑑賞することになる。
その溜まったフラストレーションがラストのタイトルマッチで一気に発散される!!…という展開になれば良かったんだけど、その試合描写がイマイチなんだよなぁ…。
周囲の観衆が消え去り、リングの上に立つ2人の戦士だけが残る。アニメ好きを公言するMBJらしく、日本のスポーツアニメではお馴染みのこの表現を実写に取り入れている。こういうの『ピンポン』とか『スラムダンク』を思い出しますよね。
まぁぶっちゃけこの演出があんまり上手いこと行っておらずちょっとダサい。
明確に問題ありだと思ったのは、途中の死闘をすっ飛ばして唐突に最終ラウンドが始まっちゃったこと。2人だけの世界での闘いを除けば第1ラウンドと第12ラウンドしか描かれてないじゃない!
やっぱりボクシングって途中経過も大事だと思うのです。起点と終点、そしてその間を繋ぐ心象的な映像だけを観させられても、イマイチ燃えないんだよね🌀
『クリード1』では『ロッキー1』を、『クリード2』では『ロッキー2』と『4』を踏襲したかのような作劇を見せていたこのシリーズだが、本作では『ロッキー3』と『5』からの影響を感じる。ブランクからのカムバックという点では『ファイナル』の香りも少々あるか。
3作品を通して『ロッキー1』〜『ファイナル』までをリビルドしたかのようなこの『クリード』シリーズ。そういうところが優等生的というか堅実というか無難というか面白みに欠けるというか…。
プロデューサーはウィンクラー一族、脚本は『クリード1』の監督だったライアン・クーグラーの弟であるキーナン・クーグラー。ライアンも製作/原案としてクレジットされている。
完全にスタローンの手を離れ、ウィンクラー&クーグラーファミリーに乗っ取られてしまった『ロッキー』シリーズ。映画と実人生が混ざり合ってしまうというのはスライの特徴の一つだが、身内に裏切られて全てを失うなんてまるで『ロッキー5』じゃないか…😅
どこまでいってもロッキー・バルボア=シルベスター・スタローンなんだなぁ…と、本人が出演していないのにも拘らずそう強く思った次第であります。
とまぁなんだかんだと書いてきたけど、エンドクレジット後のオマケ短編アニメの印象が強烈すぎて、ぶっちゃけ映画本編の内容が全部ぶっ飛んだ😂
そりゃ冒頭に「オマケアニメがあります」という説明があったけどさぁ。まさかこんなとんでもない内容だとは思わないじゃないっすか。まさかシリーズの次回作はこれで行くのかMBJ!?
そんなわけで、最終的には「やたらとDAZNのロゴがいっぱいあるな〜。沢山お金を出したんだろうな〜」ということしか覚えていない映画でありました。
うーん…、シリーズの方向性はこれでいいのか?カムバック、スタローン!!