「とても内面的で内省的な映画」クリード 過去の逆襲 talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
とても内面的で内省的な映画
手に汗握り血湧き肉躍るシーンは沢山ある。でもこれほど静かな場面があって心静かに終わるボクシング映画はなかなかないのではと思った。
アドニスはもともと賢く頭がいいし、自分の感情を十分にコントロールできる人だ。でも忘れたことにしていた後ろめたさと悲しみと後悔と怒りに初めて向き合ったとき、パートナーのビアンカとの会話がくどくなくあっさりしているのに心が通じあっていて本当によかった(ロッキーとエイドリアンとの会話を思い出した)。これほど女性が意味を持つ映画がボクシングを軸に作られたことに感動した。一見、順風満帆なビアンカも、自身の苦しみと絶望に悩んだ時にアドニスの母(アポロの妻。アドニスの実母ではないがアドニスはアポロの実子)に救われていたことを話す。
母、妻、娘、ボクシングにおいてミット打ちを受けるのは女性トレーナー、アドニスが育てたチャンプのチャベスの側に居るのはチャベスの母親。女の子もボクシングに憧れる。男も涙を流す。今の映画だ、と思った。アドニスのサングラスにアポロの葬儀の時のロッキーを思い出した。スタローンが製作に入っていること、ロッキーとして登場しなかったことに尊敬を覚えた。
劇伴もビアンカの曲も、音楽全部良かった。映像では構図がとてもよく考えられていて示唆的で素晴らしかった。
ジョンウィック新作の件
う〜んどうなんでしょう…一応過去の登場人物踏襲みたいですし、殺し屋協会?に関する設定を引っ張ってくるみたいですし、過去作は観ておいた方が良い気がしますが…。
今晩は。
今作は今までの成り上がっていくアドニスが頂点を極めた所から、どの様に描くのかな、と思いながら鑑賞しました。
アドニスの家族の姿も佳かったのですが、個人的には今作の孤独なディミアンを演じたジョナサン・メジャースの姿が好きでしたね。
自分が助けたアドニスの恵まれた環境を見つつ、試合の後にアドニスからの謝罪を受け入れる姿。
ディミアンの人間としての器の大きさに沁みましたよ。では。返信は不要ですよ。