「パーフェクト・ドライバー & 万能ドライバー」パーフェクト・ドライバー 成功確率100%の女 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
パーフェクト・ドライバー & 万能ドライバー
予告で気になり、公開日に鑑賞してきました。ツッコミどころはさておき、パク・ソダムの魅力とあいまって期待以上におもしろく、鑑賞後の満足度は高かったです。
ストーリーは、高額の報酬と引き換えに怪しい物でも人でも必ず指定場所まで届ける特殊配送会社「特送」に勤める凄腕ドライバー・ウナが、ある日、海外逃亡を図る依頼人とその息子・ソウォンを運ぶ仕事を受けるものの、依頼人は追手に殺されてしまい、その息子だけを車に乗せて走り出すが、依頼人が大金を隠した貸金庫の鍵を息子に持たせていたため、それ狙う追手の追撃を受けることになるというもの。
本作の見どころは言うまでもなくウナのドライビングテクニックです。もちろんCGが使われているのかもしれませんが、とにかくこれがヤバい!冒頭から魅せるテクニックの数々で、開幕数分でテンション爆上がりです。狭い路地を縦横無尽に走り回り、スピンターンで縦列駐車をピタリと決め、ドリフトで踏切進入して列車をギリギリかわす等、的確な状況判断と不可能を可能にするドライビングテクニックが凄すぎです。それでいて、当のウナはドリンク片手に涼しい顔でのハンドル捌きで、その顔がまたキュートでクール!物語に一気に引き込まれました。
こんな彼女が、行きがかりで助けてしまったソウォンを煩わしく思うものの、少しずつ不憫に思い始める変化もうまく描かれていました。詳しくは語られないものの、ウナ自身が脱北者であるという背景が、彼への気持ちの変化に繋がっていると思います。また、その背景は、彼女がこの仕事を続けている訳にも関わっていると思われ、彼女の変容や行動動機を納得のいく形で示していたのは好感が持てます。できれば、そのあたりも回想で描いてくれるとさらによかったです。
ウリのカーチェイスは中盤以降にもありますが、冒頭のそれと比べるとやや淡白な印象なのは残念でした。その分、過激なバイオレンスシーンが増え、まさに韓国映画といった感じでした。そしてここで活躍するのがドライバー!まさか、タイトルはここにかけているわけではないと思いますが、まさに万能ドライバー!本来の使い方はもちろん、車の解錠、エンジンスタート、凶器と、なんでもござれの活躍ぶり。扱うウナ自身も、運転以外でもパーフェクトぶりを発揮。クライマックスもなんとか窮地を脱したかに見えて、相手の最後の意地によって絶望的な状況へ陥るものの…、そこからのラストはちょっと胸が熱くなりました。というわけで、多少のツッコミどころはあるものの、それを気にさせないテンポのよさで、最後まで楽しく鑑賞できます。
主演はパク・ソダムで、その魅力が存分に伝わる好演でした。彼女と「パラサイト 半地下の家族」以来の共演となるソウォン役のチョン・ヒョンジュンもいい演技を見せています。脇を固める、クズっぷりがいっそ清々しい悪徳警官役のソン・セビョク、口は悪いが情に厚い社長役のキム・ウィソンも、知らない俳優でしたが、うまくハマっていたと思います。