「平和なら公開されてた?」プロジェクト:ジェミニ Minaさんの映画レビュー(感想・評価)
平和なら公開されてた?
ロシアと言うと今や嫌なイメージしか湧かないが、ロシア映画と聞くと期待値が高まってしまう。ここ数年のロシア作品は質が良く、しっとりと味わえる作品が多いからだ。どうであれ、平和が第一である。さて、原題も「Project:Gemini」となる本作は宇宙が舞台の作品だ。地球上で植物が感染する疫病が発生し、様々な環境破壊をもたらして来た人類にいよいよ終焉の時が迫っている時代。ワクチンを開発する一方、新たな星に第2の地球を求め旅立つというストーリー。地球には人類を救う術となる未知の存在があるのだが、それを巡って凶暴な生物が現れ・・・
なんだが、「インターステラー」と「エイリアン」を足して2で割った様なあらすじとなるが、紛れもなくその通りの作品なのである。ここまで類似しているとTSUTAYAによく並ぶバッタものSFの様だが、本家に迫る勢いの完成度でその感情を払拭してくれる。宇宙の出来事はややこしく、「インターステラー」もボケっとしていると置いて行かれる複雑な物語であり、近年の「エイリアン」シリーズも複雑怪奇で重たいテーマとなっている。本作の良い所はその難しい2点を綺麗さっぱり取り払い、娯楽SFとして特化している点にある。SF初心者、もしくは宇宙関係がさっぱりな観客にはやはり難しい点もあるかも知れないが、SF好きならば絶対に観ているであろう2作品をヨイショしつつミックスさせた本作には拍手を送りたい。SF作品の科学者がバカ揃い(特に主人公)だったり、無責任かつ自分勝手な行動が多い(特に主人公)ところなど、皮肉とも取れるようなあからさまな演出に思わずニヤリとしてしまう。本編98分、最後くらいしか主人公に共感出来ずに終わった作品も珍しいだろう。人類の希望を扱う割にはやや軽い雰囲気の作品だが、個人的には満足である。ネット配信のみだが、手元にBlu-Rayを置いておきたい作品だ。