スケアリー・アパートメント
2020年製作/104分/スペイン
原題または英題:Malasana 32
スタッフ・キャスト
- 監督
- アルベルト・ピント
- 製作
- テレサ・フェルナンデス・バルデス
- メルセデス・ガメロ
- パブロ・ノゲロレス
- 脚本
- ラモン・カンポス
- ジェマ・R・ネイラ
- 撮影
- ダニエル・ソサ・セグラ
- 音楽
- フランク・モンタセル
- ルーカス・ペイレ
2020年製作/104分/スペイン
原題または英題:Malasana 32
まず全体的にテンポが悪い。カメラがパンしたり奥の方へ視点移動したりするのにいちいち思わせ振りな時間を取っているが、その間延びするシーンが何の意味も持たないタイプの作品。その辺をカットして、その分を説明不足な「過去の事件」や「登場人物たちの背景描写」に使うべきだった。
驚かせ方も安直で、静かなシーンで突然バーンと大きな音や声を出すというパターンの繰り返しなので、いつ、何処で、サプライズが来るか容易に予想できてしまう。今どきホラーを作るなら恐怖演出はもっと工夫してくれ。
<< 以下、ネタバレビューです。長文失礼 >>
結局、「以前の住人が女装癖の男で、子供が欲しかったけど男だから当然出来ず、家族に勘当されて孤独なまま死んで悪霊になって子供を攫った」と言う背景だったのは何となく分かったものの、そもそもこの悪霊が「女装癖の男性」である必然性が何も感じられないため、ネタばらしされても「…で?」としかならない(笑)。別に「子供が出来ない女性」という設定でも何も変わらないのでは?
また、肝心の引っ越してきた主人公一家の事情もほとんど説明されないので、何か「義理の兄と不倫して村を追い出された」とかの説明はあっても、それを旦那は知ってるのかとか、行方不明になった子供が不義の子なのかといったストーリーに関わりそうな部分がよく分からず仕舞い。主人公的な立場の女の子にしても、いつの間にか妊娠してるしで、これも誰の子供なのか分からず(ひょっとしてこの子が母親の義理の兄の相手?)。いくら何でも説明不足過ぎない?それでいてこれまた、あえてそう言う「設定」でなければならない「必然性」が何も感じられないため、何のためにこんなドロドロとした不倫ネタにしなければならないのかよく分からなかった。別に普通に付き合っている男女関係であっても良いはず。
また、途中に出て来たやたら大物感漂う霊媒師みたいな母娘にしても、ワケ知り顔で悪霊に憑依させたは良いものの、あっさり乗っ取られて状況を悪化させただけ(笑)。あげく父親が娘もろとも窓から飛び降りると言う、霊媒母娘にしたら迷惑極まりない力技で解決をしようとする(笑)。いや、その娘はただの霊媒であって、肝心の悪霊を何とかしないと意味ないだろ(笑)。そもそもこの母娘との出会いも「たまたま母親の職場の常連でした」というかなりご都合主義的なもので、素性などについてはまったく何も語られず仕舞い。
で、結局、何の解決も付かないまま、保険金でローンを返してまた別のとこに引っ越しますと言う、雑な終わり方。もう少し過去の事件の背景を練り上げて、現在の事件や家族関係のいざこざと関連付けたりすれば謎解きの面白さや設定の必然性も増したのに、何とも手抜きを感じるシナリオでしたね。